GIFT

□甘い会話と甘い物
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「まァた甘ったるいモン持ってきやがって」
「どうせ食べるクセに」

ハイ、リッちゃん正解〜。
第2のパプワ島から帰れなくなってからこっち、獅子舞ハウスでの愉快な暮らしは何だかんだで結構快適。なんたってリッちゃんが何だかんだで世話焼いてくれるし。
そして本日のおやつのおすそ分けはジャファケーキ。イギリスのお菓子だね。つやつやのチョコレートのコーティングから、ゼリーのオレンジ色がちょこっと覗いてて、なんだか食べるのがもったいないくらい丁寧に作ってある。
隊長は“自称”英国紳士なんてうそぶいてるケド、それをまあ律儀に信じてるリッちゃんのなんと健気なこと。どんな顔して作ってンだろね、毎日毎日。

「クッキーにオレンジゼリー乗っけたうえにチョコレートでコーティングした菓子なんざ、甘ったるい以外の何物でもねェだろ」
「でも、どうせ食べるクセに」

うんうん、隊長は食べるよ。そりゃもうまるっと全部。
ねえ? と、両隣のマーカーとGにアイコンタクトではかると、二人とも無言のままで首を縦に振る。

「もったいねぇからだ」
「隊長キライなものとことん食べないじゃないすか! そんな優等生ぶった理由なんかで誤魔化されないっす!」
「何を誤魔化してるってんだ何を」

あーあーこれまたとんだ天邪鬼だよ隊長。まあいつもの事だケドねえ。

「折角甘さ控えめで作ってるのにッ」
「頼んでねェって毎回言ってンだろ、喚くなトリ頭!」

まったく、お二人さんとも不器用ったらない。リッちゃんは言葉っ足らずだし、隊長は素直じゃないし。見てるこっちがヤキモキするってーの。

リッちゃんは毎日「たくさん作って余ったから」って持ってきてくれるけど、本当は隊長のためにわざわざ甘さ控えめにして、ちみっこ達のとは別にして作ってンだよね。
で、隊長はそれを知ってるけど照れくさい、と。確かにこの人は甘い物はあまり好きじゃない。だからと言って敬遠するほど嫌いでもない事は、食べっぷりからしても分かる。
と言うか口に合えば、端的に言えばリッちゃんが作った物なら、結局何でも食べるのだ。
まあ流石にタマネギはまだ食べられないようだケド。

「そんなに文句言うならいっそカップケーキにしますよ、合衆国仕様の!」

うわっと、それはさすがにキツい。
なんて言うか、味的にもカロリー的にも。

「絶ッッッ対に嫌だヤメロ」

隊長、太っちゃうんじゃない?
――なんて心の中だけで呟いたはずが思わず口に出てたらしくって、気付いた時にはもう遅かった。

「ロッドォォ、誰が中年デブだってェ?」

やっべ。
ってか誰も中年デブとか言ってない、なんて言い訳をする暇も無く青い光が視界を埋め尽くす。
あー……、ジャファケーキ食いたかったなあ。

「リキッド」
「は、はい?」
「酒に合うやつだったら大目にみてやる」
「……!」



【結局、一番甘ァいのはリッちゃんだよね】

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