GIFT

□卵が先か、鶏が先か
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「いやだ」

その言葉は肯定と同義だと何度リキッドに教えたろう。
無理矢理に拘束してるわけでは無い。強く脅しつけたわけでも無い。
まあ、多少はそういったニュアンスを含ませた言葉で大人しくさせたことは、心の内で認めているハーレムではあるが、それでも本気で嫌がるようなら止めてやるつもりではいる。
一応。

「ン、あっ」

何故なら見たいのはこんな風に快楽に蕩けた顔であって、泣き顔じゃあない。(それはそれで、そそられはするのだが)
リキッドの、開けと命じた脚の間で跪いて。
そうして煩く喚く口よりかは大分素直に悦びを主張しているそこを、手で、口で、弄ぶ。
タラタラと蜜を溢す先端を口内に迎え入れ、くびれているところに舌をぐるりと這わせれば、顔の両側で足が躍る。

「もっ、や、たいちょ……っ」

けれども奥までは咥えてやらない。
代わりに硬くなった幹を指でなぞり上げ、パンパンに膨らんだ袋を手のひらで包んで軽く揉んでやる。どちらもハーレムが着けている手袋越しに、だ。
それだけをひたすら繰り返した。
たったそれだけのことでリキッドは2度、いや、そろそろ3度目か。

「ひ……っ、ア、あぅんんッ!!」

呆気なく絶頂を極める。
それなのに濃さを失わない、若い精を躊躇無く飲み下してから、笑ってやった。
目を見つめながら声は出さず、飲み込む様を見せ付けるようにして。
リキッドが息を飲むのが分かる。そうでなくとも、目の前の欲が見る間にそそり立って腹を打っていた。全く分かり易い奴だ、このこどもは。

「まだまだイけそうだなァ」
「ひう、ぅ!」

ふうっと息を吹きかけると、応えるように溢れてくる先走りに舌なめずりをしたくなるのを堪える。
びくびくと震えるリキッドの両脚の奥では、一度も触れていない筈の後腔が今にもほころびそうになっていた。
濡れたそこは、恐らくはいきなり熱く昂った欲をブチ込んでも悦んで口を開けてくれるだろう。
でも、まだだ。

「や、も、ソコばっか、っそこ、ゃ、ッ、やだああ……!」

誘惑に、敢えて無視を決め込む。
そうしてとろとろと蜜が流れ出るのが止まらない先端に、また指を這わせた。
くびれから先を指の腹で何度も何度も擦る。
擦る場所を少しずつ変えるたび、リキッドの身体は面白いように跳ね回った。
相変わらず、口では拒絶している癖にその表情は雄弁だ。全身で享受する快楽が、そして絶対的な上官であるハーレムが己の前に跪いているという優越感が、リキッドの締まりを失くした唇から涎と共に溢れ出ている。まさに痴態と呼ぶにふさわしい。
普段は、遊び(もしくは躾)と称した隊内でのいじめに泣きながらも耐え抜くような奴だ。
それがどうだろう、酷くされることに慣れた身体は一転、優しく扱われることにはこんなにも耐性が無い。

「ッま、た、クる……っ」
「4回目だな」
「また、ゃ……っ、ちが、ぅ、あ、ア!」
「違う?」
「さ、っき、ちがっ、あ、」
「ああそォか。それな、我慢しねーで出しちまえ。天国見れっぞ?」
「ふ、ぅ、うっ!」
「いーから力抜けって」

あれだけ躍っていたリキッドの手足は、いまやぎゅうぎゅうに力を入れられて窮屈そうに縮こまってしまっている。けれども「違う」と訴えるその感覚がなんなのかを察しているハーレムは、より一層指に力を籠めた。
あともうひと押しなのだ。

「しゃーねェな」
「ひ、っ――!?」

右手の手袋を口でくわえて引っ張り外す。それを適当に床に放り、特に前置きもせぬまま後腔に指を突っ込んでやった。
揃えた人差し指と中指に久々に感じる、濡れたリキッドの直接の体温が指に馴染む。そしてその爪先を、勝手知ったるリキッドの悦所に突き立てればもう、あっという間だった。

「ヨすぎて声も出ねェってか?」

散々に弄り回していた先端から、噴き上がる透明な液体。所謂潮吹きだ。
ハーレムが思っていたよりも量は少なかったが、リキッドの反応を見るに得られた快感は最早苛烈を極めたと言い換えても差し障りはないらしい。

「――リキッド、おい、大丈夫かあ?」
「ァ、は、」

声を出そうにも、息をしようにも、仰け反ったまま硬直してしまった身体は小刻みに痙攣を繰り返すばかりで、口からは掠れた呼気が漏れ出るだけ。流石にもう限界だろう。
後腔から指をそっと抜き、よっ、と軽い掛け声で立ち上がったハーレムは改めてリキッドを見下ろす。
涙、鼻水、涎やらで、くしゃくしゃになった顔。目はうつろで、どこを見ているのかは分からない。
ただ、その口角が。

「は。嬉しそうだなあ?」

ゆるりと笑みをたたえているものだから。
リキッドの、こういうところが堪らないから。
だから。

「あー、もっと可愛がってやりてえ」

こういう可愛い反応をするから手を出すようになったのか。
それとも手を出し続けたからこそ可愛く仕上がってしまったのか。はて、と。
原因と結果が循環する。

「まあ、いいか」

可愛いものは可愛い。それでいい。
楽しければいいのだ。

「た……ぃ、ちょお」
「ん。ベッド行こうな」

もちろん、お互いに。



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