GIFT

□いつものノリ、の筈が
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「おい。リキッド、諦めろ」

「嫌です!」


さっきからずっとこのやり取りの繰り返しだ。
当然のように俺とリキッドは同じベッドで朝を迎えた訳だが、リキッドの方は【同じ体】では朝を迎えられなかった。

まあ、それは俺の仕業なんだが。


「いーじゃねェか、1日ぐれェ女の体になったってよォ」

「嫌に決まってンでしょーが! どうせイタズラする気満々のクセに!」

「え、イタズラだけで済ますつもり無ェケド」

「だったら余計にヤだー!」


カン高い声と共に飛んできた枕をかわして、くるまっていたシーツの隙間から現れた腕を掴む。嗚呼、細ェなァなんて他人事のように思ったが、実際殆ど他人事か。


「痛……ッ」

「――あ、ワリ……」


力を入れ過ぎてしまったらしい。リキッドが小さな悲鳴をあげた。
声がいつもと違うからだろうか。何となく間がもたなくなって、とりあえず頭(が、あるであろう辺り)を撫でてみた。


「もォ……ホントにこんなのヤです……」


自ら被っていたシーツを捲って現れたリキッドは、泣き腫らした目でこちらをジトリと睨んできて思わず息を詰めてしまう。

普段よりも尖った顎、緩やかになった鎖骨のライン、胸そのものはシーツに隠れて見えないが、サイズは大き過ぎず小さ過ぎずといったところで、触り心地はさぞ良いだろう。
だが触れてしまえば本格的に泣かせてしまいそうだ。元々嫌がっている顔が見たかっただけであって、決して泣かせたい訳では無かった。


「リキッド、こっち来い」


手を差し伸べても首を横に振るばかりのリキッドを体ごと包み込むようにして引き寄せる。暴れようとするのを少し力を入れて抑えつけた。


「何もしねェよ。……泣くな」


額にひとつ、小さくキスをして。
それだけでコイツは落ち着く事を知っているから。

ぐすぐすと鼻を鳴らすリキッドが体を預けてくるまで、そう時間は掛からなかった。華奢な体。成長途中とはいえ多少は鍛えられていた体がこうなってしまっては、流石にショックだったかもしれない。


「リキッド……」

「? ……ッン、ぅ」


ひとしきり遊んだ後で使うつもりだった解毒剤を口移しで含ませる。


「――これで暫くしたら元に戻るからよ。だから……」

「だから……?」

「戻る前に、1発ヤらせて――……」

「〜〜隊長のバカァあああッ!」





その日、見事に頬にくっきりと作ってしまった紅葉のような手の痕が消えるまで、俺は指1本触れるなと言い渡されてしまったのは言うまでもない。




いつものノリ、の筈が

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