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□あなたをください
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【2015年リッ誕/特戦期】


「ひアッ、あ、あ!」
「おーおー、うまそうにくわえてンなァ」

なんて日だ、なんて日だ、なんて日だ!
そう心の中で毒づきながらも、リキッドの口から出てくるのは嬌声ばかりだ。
今日は任務は無い。
どころか、久々の本部での休暇。
更には自身の誕生日、であるのに。
リキッドは嘆いた。だって誰が想像するだろう。朝、世間話のつもりで「俺、今日誕生日なンすよね」と言ったら、その日の夜に「プレゼントだ」と称していわゆる大人のオモチャを渡されるなどと。
それを見たリキッドは懇切丁寧、誠心誠意ご辞退申し上げたのだが、そんなものがこの上司に通用するはずもなく、あれよと言う間に寝室に連れ込まれて現在に至る。

「ァ、ぐ……っ、くる、し……!」
「あア? 俺様のよか小せぇだろォがよ」
「ンんぅっ、く、あっ、」

仰向けに転がされ、準備もそこそこに股に突っ込まれたそれは、やたらめったらにリアルな男性器を模したバイブ。でもそこまで形を再現してあるのに、ド派手なピンク色をしているのがグロテスクなことこの上ない。
ちなみにこのカラーリングをチョイスした理由は「ファンシーヤンキーが好きそうだから」だそうだ。そもそも物自体がファンシーからかけ離れているわけだが、ツッコミを入れる気力は既に無かった。
「自分のものより小さい」とハーレムは言うが、リキッドには到底そうは思えない。
後腔は無遠慮に拡げられて正直痛いし、ヘソの裏側まで届こうかという質量は、恐ろしい。
そんな状態であるにも関わらず、ハーレムが加減も無しに抽挿を繰り返すものだから、不快感に吐き気が込み上げてくる。
だが、それでも「嫌だ」とは言えなかった。
物は物だが、これはれっきとした誕生日プレゼントなのだ。誕生日であることを朝に告げて、その日のうちに用意してくれた、プレゼント。無碍にしてしまうには、ほんの少し良心が咎めた。
だから必死に考える。
ハーレムを怒らせず、リキッド自身も苦しくない方法を。

「ぁ、い……っ、たい、ちょ……!」
「なんだよ」
「たいちょ、っの、が……ぃ、いっ」

そうして無機質な玩具に突き上げられながら、出した答え。
隊長のがいい。隊長のが欲しい。そう言いながら切なく鳴いてみせたのが、正解だった。

「ッ、ぁ、――――!!」

一瞬の喪失感。
次いで腰から脳天までを突き抜ける強烈な快感が、まるで正解に対する褒美のようにリキッドの思考を甘く溶かしていく。

「かわいいこと、言いやがって」
「ふあっ、あ、」
「そんなにコレが、欲しかった、か?」
「あ、あ、ア!」
「コラそんなに締めんな」

ハーレムを後腔一杯に受け入れ揺さぶられながら、こくこくと頷く。先程までの不快感は消し飛び、足の爪先から頭の天辺までが快感一色で染まった。
感触が全然違う。それに、熱くて。何よりも――

「す、き」
「そォか。好きなだけ、くれてやる」

はじめから俺様をプレゼントにしときゃよかったな、来年はそうする――などと言って笑うハーレムは本当に嬉しそうだ。
だからリキッドもつい嬉しくなってその背に腕を回してしがみ付いた。
ピンク色をしたオモチャは、二人の足元に所在無さ気に転がっている。


【来年も、その次の年も、ずっと】

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