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□Reverse side
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もし、
ほんの少しリキッドの心が疲れていたら
Reverse side
「何してンだ、こんなトコで」
夜中、ふと目覚めると共寝していた筈のリキッドが居なくなっていて。
空いたベッドのスペースを照らし出す月明かりが妙に明るいなと、窓から外を見上げれば真ん丸い銀色の月が浮かんでいた。
そんな冷めるような月の光に訳もなく不安に駆られてリキッドを探し回り、漸く、灯りの点いていないブリーフィングルームのソファの上でうずくまっているのを見付けたハーレムだったのだが。
「リキッド…?」
声を掛けたにも関わらず無反応なリキッドの様子を訝しみ、名を呼びながら近付いてみて、息を飲んだ。
仮面のように表情が失せた顔。
視線は月明かりに照らされた床の上に注がれるばかりで微動だにせず、薄く開いた唇から僅かに聞こえる呼吸の音だけが、リキッドが生きた人間であることを辛うじて知らせていた。
「…おい」
「…ぁ……隊長…?」
ひとつ、まばたきする間にいつもの間抜け面を取り戻したリキッドが、キョトンとした顔で此方を見上げる。
「えらく悩ましい格好だなァ」
「ぇ、うわ…ッ」
裸にハーレムのシャツを羽織っただけという、眠りについた時そのままの姿だったことに今更ながら気付いたようで、慌てて投げ出していた足やらを隠そうとしているが隠せる筈もなく。
「意味無ェだろ、見慣れてるし」
そう言いながらリキッドの隣に腰を下ろし、笑い掛けてやろうとして、出来なかった。
リキッドが、しがみついてきたからだ。
ハーレムのそばを離れたくなくて。
だが己の手が血で染まっていく現実から時に、逃げたくて。
そんな風にリキッドが相反する感情を内包していることを知っていながら、
「…俺は何もしてやれない。迷うのも決めるのも、オマエ自身だ」
我ながら残酷な一言。
勝手に連れてきておいて。
(その足首に枷は無いけれど)
愛、のようなものを囁いておいて。
(言葉の鎖で縛り付けておいて)
「解って、る」
「…イイ子だ」
「でも、ちょっとだけ、もうちょっとだけ…こうしててもいい…?」
「ああ」
泣き出しそうな声。
顔を上げさせようとして、やめる。
今、この子供は泣けないだろうから――…
「愛してる、か」
あれから眠ってしまったリキッドに膝を貸し、窓の外の月に向けて一人ごちる。
リキッドと出会うまでは決して理解し得なかった感情。
そして同時に、その感情には裏側も在るのだと己自身によって知らしめられた。
でもそれはきっと誰しも持っているのだろう。決して表には見せないだけで。
丁度、月の裏側のように。
リキッドにそばに居て欲しくて。
けれどその手が汚れていくのを時に、見ていられなくて。
「出会っちまったモンは、もうどうしようもねェよ。…なあ?リキッド…」
透明な涙が一筋、ハーレムの頬をつたうのを月だけがただ、見ていた。
お月サマの裏側も
おんなじ様に、傷だらけ