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□Feverish
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もし、
隊長が暑さに弱かったら


Feverish


鬼の霍乱――…いや、この場合は獅子舞様の霍乱と言うべきか



「隊長って暑いの駄目だったンすね」


リキッドはちゃぶ台に突っ伏しているハーレムの、その長い髪を結い上げてやっていた。

昼下がり、赤い顔をしてフラリとパプワハウスに一人現れたハーレムは、「暑い」と一言呟くなり玄関先で座り込んでしまいリキッドを驚かせたのだ。

どんな極地戦だろうとピンピンしていそうなハーレムが、連日の蒸し暑さに負けてぐったりしている姿というのは、それなりに衝撃が大きい。


「ん、結い終わりましたよ。これでちょっとは首元涼しくなるでしょ。お茶、もう少し飲みます?」

「…茶は、いらねェ。タオル…ぬるい…」

「ハイハイ」


言われるがまま、後ろ首に乗せてあった濡れタオルを手に取れば確かに温い。

ついさっき氷水で絞ったばかりなのにとリキッドは流石に心配になり、横になるよう勧めたが「大丈夫だ」の一点張りで手に負えず、終いには機嫌が悪くなってきたので暫く様子を見ることにした。


「…ったく、天の邪鬼なんだから」

「うっせ…ガキ…」

「今の隊長の方がよっぽどガキっす」

「…ッ、ん…」


ハーレムの悪態をピシャリと撥ね付け、氷水で絞り直したタオルを再び首に乗せてやる。
すると冷たさが気持ち良いのか、うっとりと微睡むように目を細めたハーレムの表情は何とも言えず妖艶で、思わずリキッドの心臓がトクンと跳ねた。


「隊長…」

「ぁー…?」

「…キス、していいすか?」

「…とんだエロガキだな、おい…、ッ…ん」


返事も待たず、誘われるように唇を重ねる。
触れたそこは予想通り熱く、ノロノロと体を起こしたハーレムが差し入れてきた舌もまるで溶けてしまいそうで、全て奪うかの如く夢中になって貪った。


「ン、ふあ、たいちょ…っ」


互いに頭を掻き抱くようにしての激しいキスにリキッドの頭が朦朧となってきた頃、不意に腕の中の重みが増したので驚いて顔を離すと、そのまま仰のいて後ろに倒れそうになったハーレムを慌てて支える。


「…え…っウソ、隊長?!」

「………夜は、覚えてろ…ぜってーに…泣か、す…」


それっきり沈黙してしまったハーレムの顔を覗き込めば、眉間に皺を寄せ、大粒の汗をかきながら唸っていた。
暑さと熱さに耐えられず、物騒なことを言い残しながらも意識を飛ばしてしまったらしい。


「ちょっ、マジで…?」


まさか気を失うなどとは思ってもみなかったリキッドは途方に暮れる。

とりあえず子供達が帰ってくる前に何とかせねばと、キスで呆けた頭をフル回転させながら抱え直したハーレムの体はひどく、熱っぽかった。


「…夜も、あついまんまかな…?」


嗚呼、なんて不埒な
っぽさ


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