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□Propensity
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もし、
2人が心理テストで遊ばれたら
Propensity
「リーッちゃん!ちょっとココにあご乗っけてみて〜?」
「…はア?」
良い感じに酔ったロッドがそう言いながら拳をひょいとリキッドの鼻先に突き付けてきたのは、艦内で行われているいつもの酒盛りが、いつものようにグダグダのまま終わろうとしていた時だった。
「いーからいーから、ホラ」
ずい、と突き出される拳に若干引きながらも何となく素直にあごを乗せてしまうのは、酔っているから。
そうして、「これがどうしたんだよォ」とブツブツ言いながら目の前のロッドを睨むと、何故だか驚いていた。
「ロッド〜?」
「意外だな」
「………ん」
抗議を向けたとは別方向から、中国人とドイツ人。
「何だ何だァ?何の遊びだ、ロッドよぉ」
「ぐえっ!!隊長、絞まる絞まる!!ってかもう絞まってるゥ!!」
その時、寝ていたとばかり思っていたハーレムがのそりとソファから体を起こした。
「簡単な心理テストです、貴方もやってみますか?隊長」
ロッドが絞め落とされる寸前、マーカーが同じようにハーレムの前に拳を付き出す。
しんりてすと?と子供のようにおうむ返しで呟く様子が妙に可愛いな、と思いつつ、リキッドは解放されて盛大に咳き込むロッドの背をさすってやった。
「こんなんで、何がわかるっつーんだよ」
そう言いながらマーカーの拳の上にあごを乗せたハーレムは、眠いのか幾度か目を瞬かせた後、伏し目がちに視線をボンヤリと下の方にさ迷わせている。
「…おや」
「……む」
「すげ…」
「…何?」
「おい、何だァ?」
どうやら解答を知らないのはリキッドとハーレムだけらしい。
しかも他の3人は、リキッドの時よりも更に驚いた表情を浮かべていて。
「結論から言いますと、」
「リッちゃんはSでぇ」
「………隊長がM、です」
一瞬、部屋に沈黙が訪れた。
こういう会話が途切れる瞬間を「天使が通る」って言ったりするんだよな、とリキッドの意識がうっかり変な方向に行きかけた、が、
「「はあああ?!!!」」
直後見事なハーモニーを奏でつつリキッドとハーレムの叫びが部屋中に木霊したのも、当たり前と言えば当たり前だろう。
何せ自他共に認める俺様なハーレムと、それに振り回されるお子様ルーキーなリキッド、それぞれ予想される答えとは真逆の結果になったのだから。
「隊長ってMだったの?!」
「え、リッちゃんソコ突っ込むんだ」
「ンなワケあるかァ!!こーなったら衆人環視でヤってやんよ!!どんだけ俺様がリキッド啼かせてっか指くわえて見てやがれテメェら!!」
「ぎゃーっ!こんなトコで脱がすなオッサン!セクハラ!変態ぃぃい!!」
この後、リキッドの悩ましい喘ぎ声が朝方まで続いたとか続かなかったとか――…
(あながち間違いでもなさそうだが)
(隊長ってばリッちゃんにベタ惚れだし)
(………惚れた弱味、だな)