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□Sweetness
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もし、
アイスを2人で一緒に買いに行ったなら
sweetness
「っだー!何でこんなに暑いんだよ!三月だぞ、三月!!やってられっか!!」
そう子供のように喚いているのはリキッド――ではなく、いい年をしたハーレムの方である。
「空に吠えたって仕方ないでしょ、買い出し終わったんだしダレてないで早く帰りましょーよ」
「ヤだ。暑い。歩くの面倒」
ガキ大将か!――と怒鳴りたくなるのを堪えて、こうなったらタクシーでも拾おうかとリキッドが辺りを見回した時だった。
「あ。アイス売ってますよ、ホラ」
「あン…?」
リキッドが指差した先には、少々季節外れなアイスクリームの移動販売車が店を構えていた。
3月にしては暖かすぎる陽射しが功をそうしてか、中々に賑わっている。
「…食う…アイス……」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
そちらに視線を向けるなりフラフラと歩き出したハーレムを追って、荷物を抱え直したリキッドもヨタヨタと着いていく。
追い付いた頃には客の列も掃けていて、ちょうどハーレムが何やら注文をしている最中だった。
店員がコーンを2つ持っていることから察するに、どうやら勝手にリキッドの分まで頼んでしまったらしい。
――選びたかったのになァ
そう思う反面、当たり前のように自分の分まで注文したハーレムが嬉しくもある。
「ほらよ、新作だと」
ひょいと差し出されたアイスはピンク色。所々に赤いマーブル模様が見えるそれは、どうやらベリー系のフレーバーらしい。
「あ、ども。…って俺、持てないんですけどどうしろって言うんですか」
「あーん」
「こっ、こんな往来で出来るか!!」
「どのみち荷物を地面に置くわけにもいかねェだろ、お子サマらしく食わされときゃいいんだよ。オラ、溶けるぞ」
そうだ、まごついていたらアイスが溶ける。
どちらにしろ立ち止まっていたら邪魔になるからと道の端に寄った所で、改めて差し出されたアイスにリキッドはおずおずとかぶり付いた。
「…ん、美味いっす」
「そォか」
「隊長は何味にしたンすか?」
「何だと思う?」
――あ、ヤベ何か企んでる
ニヤリとつり上がったハーレムの口角を見て一歩後ずさろうとしたが、遅かった。
「ンぅ、ッ…!」
半歩距離を詰めてきたハーレムがリキッドに軽く口付けたあと、その唇をペロリと舐め上げたのだ。
そうしてすぐに離れていったハーレムの顔と言ったら、まるで悪戯に成功した子供のようで。
「キスのお味は?」
「レ、モン味…って言わせたいだけだろこのオッサン!!中学生か!!」
「オメーのは甘ったりィな」
「聞けーーーッ!!!!」
ベリーのアイスに負けないくらい真っ赤になって照れたり怒ったりと忙しいリキッドだったが、結局ハーレムの食べていたレモンシャーベットを半分貰ってすぐに機嫌を直したのは、また別のお話。
「初恋の味?」
「それはカ●ピスでしょっ!」