LOG2

□十月の花見
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(お題:彩街様より)





「おーおー、派手な血花だなァ」

今回は何がリキッドを激昂させたのだろうか。与えられる任務のうち十数回に一度程度の割合ではあるが、凄惨なその有り様には毎度背筋が震える。それを隠しながら、ハーレムはおどけた調子で笑った。

原因はすぐに知れた。
少し離れた所に転がっていた、母と子だろうか、妙に綺麗なままの死体。
対するリキッドが立っているのは、弾けた肉と血が地面のあちらこちらに大輪の花を咲かせたその中心。
何人分の物なのか、もはや判別もつかない。
そして現状はまだ任務中、つまり戦場のド真ん中でぼんやりと突っ立っているのだから、普段ならば一発ブン殴っているところだ。
けれども今はそれも無駄骨になることも知っていた。
「……ったく、帰ったら仕置きだ」
ガキ。
――と言うよりかは、ただの子供。
純粋で、素直に感情に従う、こども。
だからこそその行いは、時として大人を、ハーレムを畏怖させる。

「リキッド」
握り締めていた両手を開かせた。
花が綻ぶように現れた手のひらの赤は、他人の血かリキッドの血か。
「怪我は無ェか?」
問うた言葉に、さまよっていたリキッドの視線が自分のそれとかち合う。
涙すら枯れ果てた。そんな目だった。
「……俺はこんな血花よか、」
「ッ」
「お前が咲かす火花の方が、キレーで、んでもって派手だから好きだ」
その場しのぎの慰めはしかし、リキッドの表情を泣き笑いのかたちにしてくれた。
「たい、ちょう」

つよくなりたい

小さく呟いたリキッドの頬を、涙が一筋伝って落ちた。

【いつか違ういろの花を咲かせる日を願う】

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ちょいトチ狂いかけのリッちゃんと、
罪悪感、のようなものを覚える隊長、

っていう組み合わせも好きです。

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