LOG2

□七月の責任
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(お題:彩街様より)





【原作完結後】


「――有り得ねェ」

俺は言った。
だが目の前の女はいとも容易く否定の言葉を口にする。
「そう言い切れないのがこの島の不思議なところですわ。ハーレム様もよくご存じでしょう?」
悔しいがその通りである。
何でもアリなこの島のこと。もしかしたら、という思いは頑固な染みのように消えることは無くて。
「最近リキッド様の体調がよろしくなくて」
「ああ」
「特に炊きたてのごはんの匂いがダメで」
「そうだ」
「けれど酸っぱいものはむしろ良くお召し上がりになるなんて、まるで、ですわ」
「だろ?! “まるで”だろ?!」
これは、あれか。
セキニンってやつを取らなければいけない場面なのだろうか。
心なしかすぐ目の前から途方も無い威圧感のようなものを覚えた。おそるおそる、顔を上げれば。
「……今が、いちばん大切な時期ですのよ。ハーレム様?」
語尾と共に吊り上げる片眉に、その言葉の裏を理解した俺は一も二も無く迅速に立ち上がり、くるりと回れ右をして挨拶もそこそこにその場を辞した。



「いいの? アレ。リキッド君てただの暑気あたりでしょ?」
「いいんですの。リキッド様が嘆いておられましたわ。ハーレム様がこの島に移られてから、暫くは家事もよく手伝ってくれていたのに、最近は何もせずただゴロゴロと家で過ごしてそのうちメタボで膨らんでますますダメになっていく定年退職後のダメ亭主のようだと。良い薬になるといいのですけれど」
「……くり子ちゃん意外とキツいんだね……」

【は?つわり?何言ってんすか】


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