LOG2

□四月の誘惑
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(お題:彩街様より)





いらねーから、やる。
そう言った時のリキッドの顔といったらなかった。

「どうせ貰いモンだし。甘ったりィの好きだろ、お前」
それはゴディバのチョコレート・リキュール。
手のひらに収まるほど小さな、丸い小瓶を眺めるリキッドの目はきょときょとと戸惑い、しかし喜びを隠せないようだ。
「でも、ホント、いーんすか?」
「おう」
飲まないのは本当だ。こんな如何にも甘ったるい(であろう)酒は好みじゃない。
だけれども。

貰い物というのは、嘘。

見付けたのは偶然だが、リキッドが喜ぶだろうと思って買って帰ったのは俺の意思。謂わば必然だ。
「あ、でもそれ飲んだ後でキスすんの禁止な。甘ったる過ぎて胸焼けしちまいそうだ」
「なっ……ンでキスすんの前提なんだよッ」
「だってリッちゃん酔っぱらったらキス魔だしー?」
「しねェよ!」
「は? 覚えてねェの?」
「……へ……? マジ?」
「マジ」
ああほら、みるみるうちに赤くなる顔。
驚いたり、笑ったり、怒ったり、かと思えば照れてみたり。くるくると変わる表情は見ていて飽きない。
そしてもっと見ていたい。
「ビデオでも回しとくかァ? ハメ撮りだ」
「ばっ……この、変態オヤジ!」

誘ったつもりが誘われている。
この不思議なこどもをもっと、見ていたい。
ひかりに誘われてるみたいだ。そう、思った。



【できれば笑った顔がいい】

――――――――――

仕事で異動が決まった折、ゴディバのチョコをいただいたので思い付いたネタ
異動先はとても忙しそうです…

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