LOG2

□Cancer
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zodiac


ぱん――と、乾いた音がした。

銃撃か? と首を巡らせたロッドだったが、今居る場所が本部のド真ん中であることを思い出してその可能性をすぐさま否定する。
しかし覚えのある音だった。
そう、あれは確か――

「隊長の馬鹿ぁっ!」

――答えに至る前に廊下の角から怒声と共に走り出てきた人影とぶつかりそうになり、たたらを踏む。

「わっ、すんませ――」

「ありゃま、色っぽいねェ」

「ロッ……?! ッ、うるさいっ」

リキッド、だった。それも半裸の。
顔を真っ赤にした彼は一言だけ文句を口にして走り去ってしまう。
となるともう一人、角の向こうに居るのが誰か容易に想像がついた。

「飛空艦ならともかく、本部の廊下は完全に失敗デショ隊長」

「だからってあそこまでヒスるこたァねえだろ、いってェー……」

ロッドの前に現れたハーレムの、その左頬には見事な赤い花が咲いていた。なるほど火薬の炸裂音と間違えるわけである。

「花も恥じらう十代の乙女なンすから、リキッド坊やは」

「乙女があんな豪快にフルスイングするかよ」

「あーあ、アレ絶対その辺で泣いてますよォ? 俺、慰めに行っちゃ――ぐぇふっ!」

「だぁーれのモンに手ェだそうとしてんだオメーはよォ!! ブッ殺されてェか?!」

一体どっちがヒステリックなんだか――

殴られた顎を擦りながら。
そうひとりごちるロッドが、廊下にポツンと残される。とんだとばっちりだった。



――――――――――

4月:蟹座:ヒステリック


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