LOG2

□Gemini
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zodiac


「一人殺せば殺人者で百万人殺せば英雄だって、誰が言ったんだっけ。チャップリン?」

「ポーテューズだ」

「……ぽーちゅ……? だれ?」

「ベイルビー・ポーテューズ、オメーの母国の神父サマ。そいつの言葉をチャップリンが映画で有名にしただけだ」

気軽な様子で世間話を交わす、そこは戦場。
リキッドの指先からは雷撃が、ハーレムの掌からは光の波が、それぞれ放たれる。

「隊長はあと何人で英雄?」

「さあな。数えちゃいねェよ面倒臭い」

「俺も、分かんないや」

「九九もつっかえるクセに無理すんな」

今日のリキッドはよく喋る。
そしてそれをハーレムも咎めることはしない。
リキッドの滅多に口にすることの無い「殺す」などという単語がそうさせていた。

「隊長は英雄になりたい?」

「ンな訳ねーだろ」

眼魔砲、と小さく呟き光を放つ。
反比例するように大きくなった爆音。
風が走り、二人の髪を躍らせる。

「俺もなりたくない。でも、だったら」

リキッドが戦慄く。
しまったと思ってももう遅い。
お喋りが過ぎた。

「俺はこの先ずぅっと、ひとごろしだね」

こんなことを言わせる前にさっさと片付けてしまえば、よかった。



――――――――――

3月:双子座:お喋り


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