桜花舞闘

□黎明録〜第五幕・警護〜
1ページ/5ページ



ふと、思うことがある。
私にとって、浪士組の皆はどういう存在か。


近藤さんは、皆の父上……と言ったら失礼かもしれないのだが。
大黒柱だ。
あの人がいるから、皆が団結して頑張れる気がする。


総司と平助は弟。

総司は何を言っても聞かないし、ひねくれている。
でも、実は変な所で甘えたり、優しかったりする。

平助はそのままだ。
笑顔を見ているだけで、こっちも微笑ましくなる。
ただ、素直で優しい性格をしているから、一番心配になる。


左之助と新八は、良く言えば兄貴、悪く言えば悪友だろうか。

左之助は大人な上に、空気を読むので、話をする分にも酒を飲むのも、楽しめる。
ただ、時々ある女なんだから発言は、正直困る。
私は、女である前に武士でありたいのだから。

新八も実直で、良くも悪くも自分に素直だ。
聞いていて、気持ちの良いくらい。
私が女とか、そういうことも、新八の中ではあってないようなものらしい。
だからといって、島原に誘うのは止めていただきたいが……。


源さんは……源さんも父上かもしれないな。
優しくて、皆を影で支えてくれる。


山南さんは、母上だ。
厳しく、時に優しく。
きっと、これを聞かれたら、山南さんに黒い笑みで説教(虐められる)だろう。


一は、自分に似てるな。
だから、一番信頼できるのかもしれない。
近藤さんと土方さんへの恩返し。
右腰と女。
理由はともあれ、本当に似ている。


龍之介は……いや、これは龍之介に悪い。
土方さんの言うとおり、彼を私から仲間にと思うのは、彼に申し訳ない。
龍之介には、龍之介のこれからがあるのだから。


…………最後に土方さん。
私の全てを変えてくれた。
全てを捧げても構わないと思える。
本当に、何よりも誰よりも努力家で真面目で。
尊敬以外の言葉が出てこない。

でも、本当にそれだけなのか……。
そんなこと、分からない。
尊敬だとは思う。
だけど、それは……。


私は知らない。
この関係が、いつか崩れるかもしれないことを。
皆が私をどう思っているかということも。
何より、私自身の正体も。


黎明録〜第五幕・警護〜
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ