空色スパイラル (銀魂逆ハー銀時オチ)

□第三十五訓 慌てるな!クーリングオフというものがある
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夜更け、一本の橋の上で男が吹き飛ばされた。



「ぐはァァ!!」



「フン、たわいもない。
立派なのは腰にさしたものだけか?

約束通り、得物はいただくぞ。」



図体のデカイ男は、吹き飛ばされた男の刀に手をかける。



「……これも、最強とは程遠いな。
侍の刃は、星をも切り裂くときいたが。
どうやら、地球[ここ]に来たのも無駄足だったようだ。

―――ああ。いずこにある、妖刀【星砕】。」







テレビが通販番組に切り替わる。



「アーウチ!!なんてこった!!

不規則な漫画家生活がたたって、おなかがまるでダブルバーガーだ!!
これじゃあ、ジェニファーに嫌われちまうよ、シィーット!!」



「どうしたの、舞蹴。
上腕二頭筋に丸ペンがつきささって、爆発した?」



「ちがうよ!!
見てくれ魔理鈴、僕のおなかを!!」



「気をつけないとダメよ。
丸ペンは人を殺傷できる程、鋭いんだから。」



「だから、丸ペンじゃねーっていってんだろ、クソ女!!腹だよ。」



すると、魔理鈴はフラフープを取り出す。



「大丈夫、そんな時はコレ。
ダイエットマシーン【まわる〜まわ〜る〜脂肪は燃えるちゃん】!

これを一日12時間やるだけで、みるみるおなかの肉が、とれちゃうんだから〜。」



「マジでか!魔理鈴!」



「今ならこれに、赤青色違いの二つもつけて、なんと驚きのこの価格!!」



愛はテレビを見ながら言う。



『色違いもらったからって…。
ねぇ、神楽。』



振り向けば、神楽が魔理鈴の様に、フラフープを回していた。



『か、神楽…?』



「十二回払い。
月々たったこれだけで、夢のボディーが手に入っちゃうんだから〜!」



「これでダブルバーガーとも、お別れだ。
キャッホォォウ!!」



「キャッホォォウ!!」



舞蹴に続けて言った神楽の後頭部を、銀時が便所スリッパで叩く。



「キャッホウじゃねーよ、お前!
それ、どっから手に入れた、てめー。」



「アレ、電話したらくれたヨ。
コレもコレもくれたヨ、キャッホォォ!!」



「ギャッボォォ!!」



神楽がたくさん掃除機や高枝きりバサミや掃除機をとりだしてくる。

それを見た銀時は、あまりのショックに血を吐く。



「神楽ちゃん。
アレはね、テレビショッピングっていって、テレビで買い物する番組なんだ。
それ…タダじゃなくて、買っちゃったんだよ。」



「マジでか。」



『まあまあ、二人とも…。
神楽だって、悪気があったわけじゃないんだからさ。』



銀時と新八は商品を持つ。



「スグ帰してこい。
今ならまだ、間に合うからよ。」



「オイオイ。冗談キツいぜ、ジョニー。」



「誰がジョニーだ!!

オイ。新八、愛、手伝え。返しにいくぞ。」


「ハーイ。」



『神楽、ごめんね。』



「や〜め〜ろ〜や〜、ジョニー!マクスウェル!シェルティー!」



三人が家を出たのを見て、神楽はソファーの上に乗った。



「んだよ、チキショー!!
あたいがダブルバーガーになっても、いいってのかよォ!!」



すると、銀時の木刀が目に入る。



神楽はそれを持って、万事屋を後にした。








《きったねー木刀だな〜。
それになんかコレ、カレー臭くない?
え?コレ、買いとれっていうの?

なんだか、よくわかんねーけど、ちょっとこりゃ引きとれねーな。
そっちの変な生き物なら、買ってもいいぞ。》



《くさっ!なんかカレー臭いよ、コレ。
それに洞爺湖ってコレ、土産ものじゃないかィ?
いらんよ、こんなの。》



《俺はなァ、カレー嫌いなんだよ。
ハヤシライスは好きだけどな。》



《これは買いとれないけど〜、お嬢ちゃんなら買ってあげるよ〜。幾らだい〜。》



神楽は橋に怒りをぶつける。



「ふんごををををを!!
どうして誰も買ってくれないアルかー!!
この役立たずがァァ!!

大体、ロクに給料ももらえねーってのによォォ。
どうやってほしいモノ、手に入れろゆーか、アン!?

先月も給料、酢昆布だったしよォォ。
そんな、酸っぱい給料あるかァァァ!!」



橋が妙な音を立てる。



「お、おお、おい!橋が…!!」



次の瞬間、橋が折れた。








神楽は橋に座って、酢昆布を食べる。



「ハァー、もう帰るに帰れないヨ。
あんなに大事にしてたモノ、勝手に持ち出してしまったネ。
きっと怒ってるヨ。
愛も、きっと私に呆れてるアル。」



すると、橋の反対側から図体のデカイ男が刀を振り上げて、跳んできた。

神楽は、銀時の木刀で刀を受ける。



「何アルか、お前?」



「小娘。その木刀、どこで手に入れた?

橋をも両断する、その刀。
ついに見つけたぞ、妖刀【星砕】…。」



神楽は男が隙を見せた瞬間に、足を引っかけて転ばす。

水の中に落ちた男は、神楽を見上げて言う。



「フハハハ。やってくれたな、小娘!」



しかし、神楽は役人に話しかけている。



「おまわりサン、おまわりサン。あそこに変質者アル。
なんか、橋も壊してました。」



「何!!
やい、テメー動くな!」



「え?ちょっ待っ…。」



「おい、待てェェ!!」



神楽は背を向けて、去ろうとする。



「定春ぅ、何やってるアル。いくヨ。」



定春の見ていた所から、何かが橋の上に跳んできた。
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