空色スパイラル (銀魂逆ハー銀時オチ)

□第二十八訓 ああ やっぱり我が家が一番だわ
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『な…ない。
全部なくなってる。』



愛は沈んだ表情で、自室から出てきた。



「どーしたんだよ。」



「愛の元気がないネ。」



愛の瞳に光はなく、どんどん表情が暗くなっていく。



「愛、何があったアルか?
銀ちゃんに何されたアルか?」



「オイ、なんで俺が何かしたみたいになってんだよ。」



「だって、銀ちゃんが一番怪しいネ。
愛、安心するヨロシ。私が銀ちゃんから守って…。」



「大変です!銀さん!!」



飛び込んできたのは新八だった。








新八に連れられ、やってきたのはファミレス。

テーブル席に四人とお妙が座っている。



「あ〜?下着泥棒だァ!!」


「そーなんスよ。
僕が旅行中に二回もやられたらしくて。
なんとか、ならないスかね?」



それに対し、銀時はさらっと言う。



「昔の人はよォ。
着物の下はノーパンだったらしいぜ、お姫様も。
お姫様なのに着物の下は、もう暴れん坊将軍だよ、お前。

そのギャップがいいんだよ。
おしとやかな顔して暴れん坊将軍かい!みたいな…。」



「てめーのノーパン談議は、どーでもいいんだよ。
こちとら、お気に入りの勝負パンツ盗られてんだぞコラ。」



「勝負パンツって、お姉さん。
誰かと決闘でもするのかィ?」



銀時の頭を掴んでいたお妙は手を離す。



「大体、何がしたいんだ。お前は。
その勝負パンツが戻ってくれば気がすむのか?」



「パンツを取り戻したうえで、パンツを盗んだ奴を血祭りにしたい。」



「もう発言がパンツをはく文明人の発言じゃねーよ。
裸で槍もって、野を駆ける人の発言だよ。」



すると、神楽が横から入る。



「下着ドロなんて女の敵アル。
姐御、私も一肌脱ぎますぜ!」



「よし、よく言った。
ついて来い、杯を交わすぞ。」



「待て待て待て!死人がでるよ!
君ら二人はヤバいって!!」



お妙と神楽が去っていくのを見ながら、新八は冷や汗を流す。



「まずいよ。最凶コンビがユニット組んじゃったよ。」



「ほっとけよ。ホシの目星は、もうついてるだろ。」



「え?一体誰…。
!!」



銀時の言葉に疑問を抱いた新八が振り向くと、テーブルの下には近藤がいた。



「なんだァァァァ!!
まさか俺を疑っているのか、貴様らァァ!!

侍が下着泥棒なんて、卑劣なマネするわけないだろーが。」



銀時はしゃがみ込んで、近藤と言い合う。



「侍がストーカーなんて、するわけねーだろーが。」



「ストーカーはしても、下着ドロなんぞするか!
訴えるぞ貴様!!」



「訴えられるのはテメーだァ!!

これで真選組解体か〜。
いや、めでてーな〜。」



「待て待て待て。
コレを見ろ、コレを!」



近藤が取り出したのは朝刊だった。



「…なんスか、コレ?
またも出没、怪盗ふんどし仮面。」



新八が気になった記事を読みあげる。



「最近、巷を騒がしているコソ泥だ。

その名の通り、風体も異様な奴でな。
まっかな褌を頭にかぶり、ブリーフ一丁で闇を駆け、キレーな娘の下着ばかりをかっさらい。
それをモテない男達にバラまくという妙な奴だ。」



「なんですか、ソレ。
鼠小僧の変態バージョン?」



銀時は手元にあるパンツを見ながら呟く。



「そーか。このパンツには、そーゆう意味が!
俺ァてっきりサンタさんのプレゼントかと…。」



「アンタ、もらってんのかィィ!!」



「フハハハハハ!
そりゃあお前、モテない男と見なされた証拠だよ。
哀れだな〜。」



「オーイ、見えてるぞ。
懐からモテない男の勲章が、こぼれ出てるぞ。」



銀時はパンツを投げながら、改めて聞く。



「んで、お妙の下着かっぱらったのも、コイツの仕業だと…。」



「ああ。今や、江戸中の娘達が被害にあってる。

しかし、民衆。
特にモテない男になまじ人気があるため、同心連中もなかなか捕まえるのに苦労してるようだ。」



そこで新八が気付く。



「待ってください!
江戸中の綺麗な娘の下着って事は、姉上よりも狙われそうな人がいるじゃないですか!?」



「もしかして…。」



「愛さんですよ。可愛いし、ついさっきまで旅行に出かけてた。
一番狙われている可能性が高いじゃないですか!?

そういえば、愛さんはどこに…。」



「ここに来るまで、一緒だったんだけ…。」



銀時達が振り返ると、愛がテーブルの端で小さくなっているのに気づいた。



「「「………。
(ずっとそこに居たのか!?気がつかなかった!!)」」」



「愛。もしかして、もしかしなくても…。」



『うっ…グスッ。
銀時、どうしよう…。帰ったら下着が一枚もなかった。』



銀時はパンツに手をかける。



「ケッ、ただの変態のくせにいっぱしの義賊気どりか。
気にくわねー、気にくわねーぜ」



「なんで俺がモテねーのしってんだ!!

しかも、愛のパンツが他の男の物になんて、許せねェェェェ!!」



「ああああああ、パンツぅぅぅ!!」



銀時が振り向いて、愛に言う。



「安心しろ。お前のパンツは俺が取り戻してやる。」


『……銀時。』



愛は銀時の破り捨てたパンツを見てポツリと言う。



『あ……これ、私の。』



四人の間に、なんとも言えない空気が流れた。
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