空色スパイラル (銀魂逆ハー銀時オチ)

□旅行編
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「愛!やっても良いアルか?」



『良いっすよ。こういうのは、当たるように祈りながら回すんす。』



「米五キロがいいアル!」



買い物で券をもらい、ガラガラ抽選会に参加した神楽。
彼女が回して出てきたのは…。



「むをっ!!」



『嘘っ!!』



金色の玉だった。



「うをぉぉぉ!!出たァァァ!!

おめでとーございます!!一等賞ですぅ!!」








帰ってきた万事屋はいつも通りの風景である。



「あっお帰り。神楽ちゃん、愛さん。」



しかし、違うのは神楽が仁王立ちをしている事である。



「何やってんだオメー。」



すると、神楽は不適な笑みを浮かべる。



「ひざまずくアル、愚民達よ。」



「「あ?」」



「頭が高いって言ってんだヨ、この貧乏侍どもが!!
工場長とお呼び!」



神楽の言葉に銀時と新八は呆れ気味で言う。



「女王様の方がいいんじゃねーか、工場長?」



「女王様は愛アル。

それに女王様なんかより、工場長の方が生産的だから偉いアル!
愛のために働く、やせこけた工場長とお呼び!」



「工場長、女王様。トイレットペーパー買ってきてくれた?」



神楽は俯き言う。



「トイレットペーパーは忘れたアルけど。」



「オイ、勘弁しろよ。
安売り今日までなんだぞ。工場長、女王様!」



『ごめん!買いに行ったら、もう無くなってて…。』



「ケツ拭く紙は忘れたけど、もっと素敵な紙は手に入れたヨ。」



神楽が取り出したのは、先ほど当てた旅行の紙だった。



「宇宙への旅、四名様!?」


『神楽が当てたんすよ!』



「こっ…工場長ォォ!!」








ターミナルで搭乗手続をする。

しかし、銀時が金属探知機でひっかかる。



「んだよ、金属の類なんてもってねーって。

あ?もしかしてアレか?
心のナイフとかにも反応すんのか?」



「ご迷惑おかけいたします。
現在、攘夷派によるテロが多発しておりますので。」



「テロね〜。あ゛っ!!スイマセン。
股に二つ金属ついてんの忘れてました。」



「お客様、だまってねーと殴りますよ。」



それに気づいた愛が急いで謝る。



『ごめんなさい!船なんて初めてなものですから…。』



「いえいえ。」



『銀時、ベルトとかもひっかかるんすよ。』



「そーなのか。」



「仲がよろしいんですね。ご夫婦で旅行ですか?
楽しんで行ってらっしゃいませ。」



最後に手荷物検査のキャビンアテンダントさんに言われた言葉で、愛の顔は真っ赤になる。



「夫婦だってよ。」



『びっくりっすよ…そんな銀時と夫婦とか…。』



とりあえず、無事に手荷物検査を抜けることが出来た。



『二人共 探検してくるって言ってたよ。
船の中で待ち合わせしよって。』



「じゃあ、俺らだけでブラつくか。
なんか見たいものあるか?」



『なら、チョコのお店とか見ていいっすか?』



搭乗時間まで、久しぶりに銀時と過ごした愛はふと思う。



『(そういえば、新八が来てから二人っきりって減ったよなぁ。)』



気づけば搭乗時間になっていて、二人と合流し船は地球を飛び立った。








「なに?定春がさらわれたって?」



「そうアル。私もう旅行なんて楽しめそーにないヨ。」



『神楽…。
大丈夫っすよ。絶対帰ってくるから。』



そう言う神楽はフライドチキン、愛はさっき買ったオレンジ入りチョコ、銀時はラーメンを黙々と食べる。



「だーからババアに預けとけって言ったんだよ。
もう台無しじゃねーか旅行が…。」



「台無しなのはお前らの人間性だよ。」



神楽は泣きながら言う。



「だって、定春だけ残していくのかわいそーネ!
銀ちゃんは定春かわいくないアルか!!」



「旅先でギャーギャー喚くんじゃねーよ。
あーあ興冷めだ、もう帰るか。」



《…皆様、よろしければ左側の窓をご覧になって下さい。

あれが太陽系で最も美しい星とされる、我らが母なる星、地球です。》



「わー、キレイだ〜。」



「わーじゃねーよ。
キッチリエンジョイしてんじゃねーか!
なんだオメーら!」



窓にかじりついて見る三人に新八は突っ込む。



「小さな悩みなんて、どーでもよくなってくるな〜。」



「ホントアル。心洗われるヨ。」



『油汚れに〜ジ●イ並に落とされるっす!!』



「洗っちゃいけないよ!
心に残しておかなきゃいけない汚れもあるよ!

ってか、愛さんもボケないでください。
何度言ったら分かるんですか?」



『ごめんなさい…。』



痺れを切らした新八が言う。



「ちょっと僕、探してきますよ。
同じ船乗ってるかもしれないし。」



しかし、それは銃を向けられ阻まれる。



「動くな。」



一気に乗客が騒ぎはじめる。



「うるせー、騒ぐなァァ!!

これより、この船は我々革命組織【萌える闘魂】が乗っとった!
貴様らの行く先は楽しい観光地から地獄に変わったんだ!

宇宙旅行などという堕落した遊興にうつつを抜かしおって。
我らの星が天人が来訪してより腐り始めたのを忘れたかァ!!

この船は、このまま地球へと進路を戻し、我が星を腐敗させた元凶たるターミナルにつっ込む!


我等の血肉は燃え尽きるが、憎き天人に大打撃を加えることができよう。
その礎となれることを誇りとし、死んで行け!」



長々とテロリストが話す中、新八はテンパっていた。



「ヤ…ヤバイよ。銀さん、銀さん」



助けを求め振り向くと、三人は相変わらず窓の外を眺めている。



「俺、死んだら愛と一緒に宇宙葬にしてもらおっかな。
星になれる気がするわ。」



「ああ、なれるともさ。」



『え…、私は海に捨ててもらう予定なんすけど…。』



「うぉーい!ホントに星になっちまうぞ。」



新八の声で近づいてきたテロリストの一人が声をかける。



「オイ、貴様ら何をやっている?
我らの話きいてい…。」



男は神楽の蹴りの餌食に、次に近づいてきた男は、銀時によって蹴り飛ばされる。

それに続いてマシンガンを構えた男は、下で構えていた新八にどんぶりで殴られる。



「何なんだ、アイツら!?」



そして、リーダーの男には愛の踵落としが決まる。



『あんたの演説、長いし眠いし捻りがないんすよ。
校長先生かってんだ。
小太郎の方がマシ。』



そして、四人は手を挙げて決めポーズをする。



「うおおお、スゲー!」



「侍!ラストサムライ!!ブラボー。」



しかし、背後から嫌な音がする。

振り返ると、テロリストの一人が構えていた。



「あれ?」



「ふざけやがって 死ねェェ!!」



絶対絶命という時、テロリストが開いたドアによって倒される。

そこから出てきたのは定春に噛まれたサングラスの天パだった。
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