空色スパイラル (銀魂逆ハー銀時オチ)

□第十八訓 男ならとりあえずカジキ!
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万事屋四人とカッパは焚き火を囲んでいる。

神楽がセロテープでカッパの皿を直してあげている。



「オラ、直ったアルヨ。オッさん。」



神楽が直した皿を叩き割る。



「アレ?今、バリンっていわなかった?」



「気のせいですよ。」



そう言った新八だったが、声は呆れている。



「オッさんよォ、引っ越しするってんなら手伝うぜ。」



「よけいなお世話だ、バカヤロー。」



カッパは池の真ん中を見る。



「アレ見ろ。妙なもんが見えるだろ。
ありゃ昔、俺が乗ってきた船だ。」



それは船と言うには、苔が生え岩のように見えた。



「海老名さん。アンタ、天人なんですか?」



新八は疑問を口にする。



「俺達の種族は清い水がねーと生きられねー。

その昔、俺達の星は天変地異で水を失い、皆新天地を求め旅立った。

そして俺がたどりついたのが、この水の星【地球】よ。」



カッパは昔を懐かしむように話す。



「たまげたよ。こんなキレーな星があったなんて。
あの頃ぁ、天人もほとんどいなかったし、宝石一人占めした気分だった…。

だが俺の姿は地球人にとっちゃ化け物以外の何者でもねェ。

迫害され俺は池に戻り、孤独に生きるようになった。」



カッパの表情は暗くなる。



「人はよォ、他人の中にいる自分を感じて、初めて生きている実感を得るんだ。

俺は生きる場所は得たが、死んでたも同然だったんだ。
あいつに会うまでは。」



カッパの話は、孤独だった自分が仲良くなった少女は肺を患っていて、同じく孤独だった。

その少女とカッパは約束をした。



〈オメーが身体治すまで、ここは俺が護っといてやるよ。キレーなままでな。〉



「誰でもいいから話し相手がほしかったのさ。
俺もアイツもな。」



そう言ったカッパは優しい表情をしていた。








銀時は言う。



「…約束っつったって何年前の話だよ。」



「さあ。乗ってきた船があんなになるくらいですから。
少なくともその娘さんはとっくに…。」



「…酔狂にも程があるぜ、つきあいきれねーや。」



去ろうとする銀時達に愛は言う。



『…銀時、神楽、新八。お願いがあるんすけど…。』








その日の夜中。

カッパの池の傍で、昼間の男がブルトーザーに指示している。



「よーし準備いいな。じゃ、頼むわ。」



「へーい。」



男は笑みを浮かべる。



「クク…腐れ河童。俺も、もう我慢の限界だよ。

池ごと土の下に埋めちゃうもんね〜。」



「でも大丈夫なんですかね。
河童のたたりとか。」



「バカか、お前は!
河童なんているわけないだろ。
ありゃただの天人だ。」



しかし、一つ目のブルトーザーに異変が起きる。



「…ったく、夜中になんでこんなことしなきゃならねーんだ。

!!

んだオイ、止まっ…。」



急に止まったブルトーザーの先を見ると、カッパの格好をした神楽が押さえていた。



「私、三朗河童アル!
おじさん。キューリちょうだい。」



「ぎゃああああ!!」



二つ目のブルトーザーが異変に気付く。



「なにやってんだ 野島の奴?

オイ どーした?キャタピラに金玉でも巻きこまれたか。

!!」



運転手の背後にいたのは、木刀を構えて、カッパの格好をした新八だった。



「二郎河童、推参!!」



「ぎゃあああ!!」



例の男も異変に気付いた。



「なーに、ギャーギャー騒いでんの?
キャタピラに金玉でも巻きこまれたか。

小東!ちょっと見てこっ…。」



隣にいた小東は、涙と涎を垂らして、気絶していた。



「小東…

!!」



カッパの格好をした銀時が、男を後ろから羽交い締めにする。

愛も同じく、カッパの格好をして前に立ち、男に木刀を向ける。



「てめーらは。」



「蝦夷は洞爺湖から参上つかまつった。河童四兄弟が長男。

太郎河童!!」



『同じく長女、花子河童っす!!』



「この土地から今すぐ手ェ引いてもらおうか?

さもなくば河童のたたりが…。」



「かっ…勘弁してくれ。河童といえばなんだ?
キューリか?

好きなものを言え、俺は髪の毛はあまりないが金だけはあるぞ!」



銀時は男の首を絞めながら言う。



「好きなもの、そーさな。

甘いものと可愛い妹と
酔狂な奴かな…。」



『嫌いなものは、アンタみたいな奴っすけど。』



気絶した男を放した銀時は、愛に言う。



「これで満足か?可愛い妹君。」



『…うん ありがとう。』



「だからといって、娘が来る保証なんてねーんだぜ。」



『でも…、可能性がないわけじゃない…。』



「なら、もっと自信持って言え。」








銀時と愛は池に釣りをしに来ていた。



「んだ、てめーら。また来てたのか。」



「よォ、きーたぜ。

この土地 売りに出されたらしーな。
これでしばらく大丈夫じゃねーの?」



「オウ、なんか本物の河童が出たらしいぞ。」



「そいつァ、恐ェな。」



『私達も気をつけなきゃっすね。』



「ひょっとして、お前ら…。」



「おっ。

ヘェー、あんなキレーな魚。この池にいたんだな。

ハハッ、楽しそーに泳いでらァ。」



『ホントっすね。気持ちよさそうっす。

…本当に良かった。』



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