空色スパイラル (銀魂逆ハー銀時オチ)

□第十八訓 男ならとりあえずカジキ!
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愛が、朝一番に銀時から言われたのは、

「今日、晩飯ねーから。」

という一言だった。


返答する間もなく、釣りの用意を持たされ、現在に至るのだが…。



「うわっ!またコイツだ。

やっぱ天人が来てから地球の生態系もおかしくなってますね。」



新八の釣った魚は食べられそうな代物ではない。



「いいからバケツ入れとけ。」



「え゛え゛!?これも食べんの!?」



『銀時…これは食べれるんすか?』



「あたりめーだろ。
鮟鱇然り、納豆然り、見た目がグロいもん程、食ったらうめーんだよ。

どんな不細工にもイイ所の一つや二つあるもんだ。」



「銀ちゃん、銀ちゃん!」



銀時を呼ぶ神楽を見ると、



「コレ、スゴイの釣れたアル。見て見て。」



「いだだだだだだだだだだだだ!!
アレ?痛くないかも?
あ゛っ!!やっぱ痛い!!いだだだだだだ!!」



カッパを釣っていた。



『神楽!!
すごいっす!大物だよ!』



「ねェねェ、これも食べれるアルか?」


銀時はカッパを蹴り飛ばす。



「あぱァ!!」



「あ゛あ゛あ゛あ゛夕食ぅぅ!!」



「今見たことは忘れろ、いいな…。」



『食べれそうにはないけど、売る事は出来そうだったのに…。』



「…銀さん、愛さん。

今の河童じゃありませんでした?」



新八の冷静な言葉に愛も賛同する。



『そうっすよ!
甲羅と皿はカッパの証拠っす!』



「んなもん、いるわけねーだろ。
アレだよ、池に住んでるただのハゲたオッさんさ。」



「池に住んでる時点でただのオッさんじゃねーよ。

それになんか緑色でしたよ。」



「それはアレだよ…。アルコール依存症。」



『えっ!じゃあ 銀時も私も緑色に!?』



「大丈夫ですよ 愛さん。
ソイツの言う言葉は大抵 嘘ですから…。

大体…アルコールに そんな成分あったら酒なんて誰も飲まんわ!!

ん?」



新八が不思議な声を上げたので愛が振り向くと、カッパが新八の足を掴んでいる。



『新八!って…銀時?』



愛は助けに行こうとしたら、銀時に担がれていた。



逃げる銀時と神楽にカッパの舌が襲う。

結局、四人でカッパの説教を受ける事になった。



「オッさんだってなァ、最初から謝れば怒んないよ、そんなに。

悪いことしたら謝るのが筋だろ。
違うか?ん?なんで逃げた。」



「…いや、河童だったから。」



銀時は呟いた。



「河童ァ?なんじゃそりゃ。

訳のわからんことを言って、ごまかそーとするな。」



「おめーが一番訳わかんねーんだヨ。」



銀時に続き、神楽も言う。



「オッさんのどこが訳わかんねーんだ!!この小娘!!

それから、お前じゃなくて海老名さんと呼べェ!!」



『ん〜?終わった?

まだか…



「嬢ちゃん…。
さっきから静かだと思ったら、君は寝てたのか!?

人が話をしている時は…。」



「スイマセンでした。」



長くなりそうだったので、新八がストップを入れる。



「海老名さん、あの。
僕の眼鏡も割りますんで、勘弁してください…。」



「よ〜し。よく謝ったな、ボク。
ごほうびに。
ほら、ビスケットだ。」



新八の手には、濡れたビスケットが置かれる。



「ありがた迷惑だよ、チクショー。」



カッパは立ち上がり、川の中へ戻っていく。



「まァ、割れたのが眼鏡の方で良かったよ。

これで お皿が割れてたら、流石のオッさんもキレていたね。
お前ら全員ボコボコだったよ。」



「うぜーよ、このオッさん。」



「いいか俺の皿だけは。
この皿だけは何人たりとも触れさせね…。」



カッパの皿にゴルフクラブが激突する。



「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!
皿割れたァァァァ!!」」



「大変だァァァ!!皿割れたぞ!!
何が大変なのかしらんけど」



すると、飛んできた方から声が聞こえる。



「あっ、ゴッメ〜ン。
ゴルフの素振りやってたら手ェすべっちゃった〜。

だから早く出ていけって言ったじゃ〜ん。
ここはあんたの家じゃない、俺の土地なんだよ〜。

この池もそこの草も土も、ぜ〜んぶ俺が買いとったんだからさァ。」



その男に向かって、カッパが言い返す。



「こちとらなァ、てめーらが親父の金玉に入ってる頃からここに住んでんだ!!
何で出てかなきゃならねェ!!

っていうか、あんまこっち見んな。恥ずかしーから!!」



そう言って、カッパは川の中心にいく。

すると、男は高らかに言った。



「ここら一帯に、どでかーいゴルフ場つくりたいのよ。
それには この池が邪魔なんだってば!

アンタの住む池なら他に用意してやるから、ここからは出ていってくんない?」



「そういう問題じゃねーんだよ!!
ここはなァ俺だけの池じゃねーんだ。
ここはアイツの…。」



「なんかよくわかんないけど。
これ以上俺の邪魔するなら、それ相応の覚悟はしといてよ。

どっからゴルフボール飛んでくるか、わかんないよ…。」


カッパは男の後ろ姿を見続けていた。
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