空色スパイラル (銀魂逆ハー銀時オチ)

□第十六訓 考えたら人生ってオッさんになってからの方が長いじゃねーか!恐っ!!
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「愛!パチンコ行ってくるわ!」



そう言って、銀時は出かけていった。

神楽は定春の散歩。
新八は休み。



『暇だぁ〜。

なんで銀時はパチンコに誘ってくれないんすか!
自分だけってズルい。』



四人と一匹でいると狭く感じるのに、一人だと広く感じる。
不思議だと愛は思った。

そして、自分の大切な仲間が自分の大きな部分を占めている。
その事が幸せであり、不安だと感じる。



『仲間かぁ…、小太郎に会えたってことは他の皆にも合えるかな?
辰馬に……晋す…け

やっぱり向き合わなきゃっすよね…』



気分が暗くなっていくのを感じる。



『ダメだ ダメだ!
一人で引きこもってるから気持ちが沈むんだ!』



そうして、愛は家を飛び出した。








昼の河川敷、銀時ご用達のおでんの屋台。

愛は卵とこんにゃくを食べていた。



『はぁ、銀時は自分勝手過ぎるっす…。』



親父に愚痴ると、親父は笑って言った。



「でも、それは愛ちゃんが大事だからじゃねーのかい?

確かにパチンコは煙草臭いから健康的にも良くないしなぁ。
女の子が行くとこじゃねー。

まあ、一回ちゃんと話すればいいじゃねーか。」



『はい…そうしてみます。
ありがとうございます。』



「ん? 噂をすれば。」



振り返ると、銀時が驚いた表情で立っていた。

銀時は後ろに長谷川こと、マダオを連れていた。



「あっ…こんにちは、愛ちゃん。」



「…愛、なんでここに…?」



『どーもっす。暇だったから食べにきた。』



銀時とマダオは適当に注文する。
酒を飲みながら、マダオは愚痴を語り始めた。



「そーか、また面接ダメだったのか。」



「ああ、全滅さ。」



語り終えたマダオに親父は言った。
愛も声をかける。



『大丈夫っすよ。
すぐに良い仕事、見つかるっす!』



「でもなぁ…。どいつもこいつもグラサン取れってよ。

グラサンは顔の一部だぜ、取れるわけねーじゃねーか!」



そう言ったマダオを銀時が殴る。



『なっ!銀時!』



「バカヤロー、なんでもグラサンのせいにしてんじゃねーよ!

つまずき転んだのを石のせいにしたところで何か変わるか?」



親父の鋭い突っ込みが入っていたが、誰も聞いていない。



「ヘッ…グラサンでなく俺に変われと?

この年で今さら俺が変われると思ってんのかよ。」



銀時は席に戻りながら言う。



「…もういい、座れよ。

オイ、親父。
コイツにお袋の味的なものを…。」



「いや、わかんねーよ。」



「お袋の味っつったら【ダイジェスティブビスケット】に決まってんだろーが!!」



『いや 天津飯っすよ!

やっぱチャーハンかも…。』


「いや。そこ悩むトコじゃねーだろ!
第一、お前らの母ちゃん何人!?

愛ちゃん、さっきのシリアスっぽい感じは?
お願いだから帰ってきて!!」



銀時はグラスを手にしながら言う。



「長谷川さんよォ。

信念もって、まっすぐ生きるのも結構だがよォ。
そいつのせいで身動きとれなくなるくらいなら、一遍曲がってみるのも手なんじゃねーの?

グニャグニャ曲がりくねっててもいいじゃねーか。

そうしてるうちに絶対譲れねェ、一本の芯みてーなもんも見えてくんじゃねーか?」



銀時は、そう言って立ち上がる。



「愛、行くぜ。」



その後ろ姿に、不覚にもカッコいいと思ってしまった愛は、慌てて顔を左右に振ると、銀時の背中を追う。



『(っ…さっきの何すか?
ちょっとドキッとしちゃった…。

何か変すよ…熱いし…。
風邪でもひいたかな?)』



それを見て、親父は若いって良いなぁと呑気に思っていたが、我に帰る。



「って…銀さん!愛ちゃん!
勘定してないんだけど!

ちょっと〜!!」



親父の叫びは二人に届かなかった。
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