短編

□文化祭〜薄桜学園編〜
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《しばらくすると、アリスの前に優雅にお茶会をする三人組が現れました。》


「そこの嬢ちゃん。
一緒にお茶しねぇか?」


「断る。

それより、てめえら。
ハートの女王の城って、どこにあるんだ?」


すると、帽子屋の左之助が言う。


「教えてほしいなら、俺達とお茶してくれねぇか?」


「あいにく、俺は西洋の茶は好きじゃねえ。」


「大丈夫、大丈夫。
ここに日本茶もあるから。」


三日月ウサギの平助が、急須から湯呑みに注ぐ。


「俺は暇じゃねぇんだ。

………仕方ねぇ。
一杯だけ、付き合ってやる。」


《アリスが席につくと、三人は自己紹介を始めました。》


「俺は三日月ウサギってんだ。」


「俺は帽子屋だ。」


「俺は眠りネズミな。」


「アリスだ。
……それにしても、名前に似合わず、元気な野郎だな。」


「そこは触れちゃいけねぇって!」


「俺ら、ずっと三人でお茶会してたから、飽き飽きしてたんだよ。
ネズミには、もうくたびれたって言うか…。」


「三日月!何言ってんだよ!!
俺のどこが…!」


「ネズミ、少し黙ってろ。
それを今言っても、仕方ないしな。
それに全ての原因は、ハートの女王な訳だから。」


「ハートの女王が、どうしたんだ?」


アリスが訊ねると、三日月ウサギが興奮しながら言う。


「帽子屋が女王に喧嘩を吹っかけちまって、怒った女王が魔法をかけたんだ。
それで俺達三人は、ずっと三時のままなんだ。」


「おかげで、俺達はずっとお茶会をするはめになっちまったんだ。」


「元はと言えば、帽子屋が女王にキレたから。」


「すまねえ…。」


すると、平助は土方に言う。


「なあ、アリスは女王のところに行くんだよな?」


「ああ。」


「じゃあ、魔法を解いてもらえないか、お願いしてきてくれよ。」


「どうして俺が。」


「いいじゃんか。
別に、減るもんでもないし。」


《引き受けなければ、帰してもらえそうになかったので、アリスは小さく頷きました。》


「あんがとな。」


「それじゃあ、俺は行く。」


「頼んだぜ、アリス!」


《アリスは三人と別れ、ハートの女王の城に向かいました。》


「ここが、女王の城か。」


すると、そこに風間が現れる。


「貴様、何者だ?
顔に似合わず、スカートなど履きおって。」


「てめえも、んなフリフリのドレス着て、人のこと言えねえだろ。」


「俺は、何を着ても似合うと、蓮と蘭に言われた。」


「……騙されてるぜ、それ。」


《アリスは女王に白ウサギについて、訊ねました。》


「なあ、白いウサギを知らねえか?
そいつから、帰る方法を聞き出したい。」


「聞きたければ、俺に勝てばいい。」


「剣で勝負か?
いいぜ、受けてやる。」


「トランプ!アレを持ってこい。」


「「アイアイサー!」」


トランプこと、天霧と不知火がピコピコハンマーとヘルメットを持ってくる。


「どうぞ。」


「ああ。」


「では、始めるか。」


「ああ……って、ちょっと待て。
何で、これなんだ?」


「決まっているだろ。
【叩いて被ってジャンケンポン】だ。」


「はぁ?」


「いくぞ。」


風間は掛け声と共に、宴会の身振りまでつける。


「叩いて被ってジャンケンポン!」


土方はチョキ、風間はパーで、土方がすかさずハンマーを振りかざす。
そして、あっけなく風間は負けた。


「そんな…。」


「早く帰り方を教えてくれ。」


「……仕方ない。
元の世界に戻りたければ、そこの穴に入ればいい。
まあ、ちゃんとたどり着けるかは、定かではないがな。」


「無責任な野郎だな。」


「黙れ。」


土方が穴を覗きこんだ瞬間、風間が土方の背中を蹴る。


「っあ!!」


「二度と来るな。」


《アリスが目覚めると、そこは元の木の下でした。》


「夢…か…。」


すると、立ち上がろうとした土方の前を、再び一が横切っていく。


「………デジャビュ。」


文化祭〜薄桜学園編〜


〜キャスト〜
アリス:土方歳三
白ウサギ:斎藤一
チェシャ猫:沖田総司
三日月ウサギ:藤堂平助
いかれ帽子屋:原田左之助
眠りネズミ:永倉新八
ハートの女王:風間千景
トランプの兵:天霧九寿
不知火匡
ナレーション:山崎丞


〜スタッフ〜
演出・脚本:坂田蓮
音響:桂蘭
南雲薫
照明:雪村千鶴
島田魁
衣装:坂本向日葵
道具:高杉椿
お千
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