短編

□文化祭〜銀魂高校・3Z編〜
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舞台上手に、スポットライトがあたる。
そこには、マイクを片手に持った、桂が立っていた。


《昔々、とても美しく優しい娘、シンデレラがいたそうだ。
だが悲しいことに、娘の母君は早くに亡くなってしまった。

その後、父君が二度目の結婚をしたため、娘には新しい母君と二人の姉ができた。
しかし、この三人は揃いも揃って大変な意地悪だったのだ。》


ボロボロの衣装を着た3Z担任、坂田銀八が床を雑巾で拭いている。


《新しい母君は、自分の娘たちよりも綺麗なシンデレラが気に入らなかった。》


シンデレラの前に、土方、沖田、近藤が立ちふさがる。


「まったく、もぅ〜。
あんたはなんて、憎らしい娘なの。(裏声)」


「………おい、シンデレラ。
俺達が買い物に行ってる間に、洗濯を終わらせておけよ。」


「ちゃんと他の部屋の掃除もするんでさぁ。」


「しっかり働かないと、家から追い出すわよ!」


「……さっきから煩ぇよ!
てめぇらが出ろって言うから、出てやったって…。」


「銀八!台本にないこと、しゃべんなっ!
それに、てめぇがシンデレラやるって言ったんだろうが!」


「だいたい、なんで俺がお姫さ……だあっ!」


シンデレラはバケツにつまづき、姉に水をかける。


「おいっ!」


「お姉様、びしょびしょじゃねぇですか。
雨でも降ってましたかね?」


「またドジったんじゃねーの?
これだから姉貴は……。」


「ちょっ、あれ?
なんで、俺が虐められてるの!?」


《そして、シンデレラはどうしようもないくらいドジだった。
新しい母君は、シンデレラのそんなところも気に入らなかった。》


「はぁ……娘たち、服は新しいのを買ってあげるから、行くわよ。
あんたは、私達が帰ってくるまでに、掃除と片付け…それと洗濯も終わらせておいて。」


「なんで、俺がお前に命令されなきゃならねぇんだよ!」


「先生!お願いします!!」


「近藤さん、素が入っちまってる……。」


継母達は去っていく。


《三人は、面倒な仕事をするのが嫌だったので、つらい仕事を全て押し付けた。
その上、シンデレラの寝る布団は粗末なわらぶとんで、着る服はボロボロのつぎ当てだらけだった。

かわいそうなシンデレラだったが、それでもシンデレラの美しさは、お姉さんたちの何倍も上だった。》


「だりぃ、ホントにだりぃ。
どれくらいダルいかっていうと……考えるのもだりぃ。」


シンデレラが横になると、九兵衛こと実母が現れる。


「あ…ああ、かわいそうな…私の娘。
今は大変だろうけど、頑張っていれば、いつか必ず幸せになれるさ。
だから、その時まで諦めずに頑張るのんだぞ。」


実母が消えると同時に、シンデレラは目を覚ます。


「夢か…。
ホント、マジで幸せになれねぇかな?」
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