短編

□せんせー、止めて下さい。
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私と先生は腐れ縁って奴だ。

これまでも、いや。
これからも、ずっと続く。
これじゃあ、前世から続いてたって、可笑しくないかもしれない。
そんな気までするのは、どうかしてるんだ。

結局、この溝は変わらない。


『って、こないだ読んだ小説にあったんですよね。』


「それが、何だよ。」


『それって、私と先生みたいじゃないですか?』


私は下を向いてる。
前髪を伸ばしてたのが、初めて正解だったと思う。

こんな顔見られたら、ショックなんてもんじゃない。
二度と学校に来れそうにない。


「どこがだよ。」


『ぜーんぶ。』


前世は副長と部下の関係。
現世は家が隣の、お兄ちゃんと妹みたいな関係。
その上に頭の賢い教師と、頭を抱えさせる問題児まで、くっついてくる。


『腐れ縁も、腐れ縁。
せっかく入った高校に、土方先生がいらっしゃられたとは。
やっと、離れられると思ったのに。』


「お前なぁ。
それを言うために、準備室に押しかけてきたのかよ。」


『悪かった?』


「それより、お前と総司のテスト、どうなってんだ!?」


『あっ、あれ。
面白かったでしょ?』


「そういう問題じゃない。
総司と違って、てめえはマジな点数とれるはずだろ…。」


『いやいや、それは総司っしょ…。』


沈黙が続く。


「さっき、お前は薄桜に来たら、俺がいたって言ってたけどよ。
中1の時に、俺に聞いてきたのは誰だよ?」


『あれ?覚えてたの?』


「それになぁ、俺は腐れ縁で終わらすつもりはねえ。」


『え?』


「ったく、てめーが腐れ縁で終わらすなら。
俺がその壁、ぶった斬ってや…。

やべえ、柄にもねえこと言っちまったな。」


『…………。』


「悪ぃ、忘れてくれって…明理珠?」


せんせー、止めて下さい。


(それ以上言われたら、歯止めが効かなくなっちゃいます。)
(俺としては、その方が好都合なんだが…。)


お題サイト DOGOD69様より
 

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