短編

□ばかなのか、あほなのか
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《ツナ!てめっ、アイツに何か言っただろ!?》



飛び込んできたのは瞳だった。
男勝りな口調に、明理珠と同じ黒髪だが、彼女のロングウェーブとは違い、ネコ毛の短髪だ。
ちなみに、彼女とは中学からの同期。

性格はアレだが、体術だけなら雲雀より強い。
マジで…。



《てめ、ぜってー何かしただろ?》



「何が?誰に?」



《誰って決まってんだろ…ザ…。》



その時、扉が蹴破られた。



《き…来た。》



煙に目を凝らすと、不機嫌そうに眉間に皺を寄せた男がいた。



「や…やあ、ザンザス。」



バカ2。
しかし、コイツは骸の様に簡単にはいかない。



「沢田綱吉…。
用とは何だ。」



完全に不機嫌だ。
ここまで来ると、誰も止めれない気がする。
ここは大人しく、様子を見ながら慎重に行こう。
うん。



「あ…あのさ、ザンザスに用事って言うか、その…。
瞳を貸してほしいなぁ…って。」



「断る。」



いや、本当はザンザスに行ってもらいたかったが、仕方がなかった。

これ以上、奴の神経を逆撫でして、逆燐に触れるのは避けたい。
4ヶ月前の過ちを繰り返してはならない。
オレの部屋が燃え尽きるのは、もう…。



「そ…そっか…。
あ、いや……そう、うん…ありがとう。
いえ、ありがとうございました。」



《オイ、私の意見は無視か!?》



「帰るぞ。」



《オイ…。
わっ、悪いな。ツナ。》



「ううん、いいよ。
こちらこそ、ごめんね。」



いつの間に、許可が要るようになったんだ。
一応、瞳はヴァリアーじゃないんだが…。
あの過保護めが、もしかしたら骸以上かもしれない。

ま、いいか。
もう…。



すると、今度は部屋に控えめなノックが響いた。



「はい。」



〈あ…あっ……えっと華音です。
お待たせして、すみません。〉



やっと来た、唯一の癒しが…。
じゃない。
おい。奴がいないぞ、肝心の奴が…。



〈あ…あの、白蘭さんが聞いてこいって…。
あ…の、任務なら……その………断れって。〉



やっぱりな。

でも、いいや。
華音だ、目の保養になる。
たどたどしい喋り方は、まさに萌だ。
ストレートの黒髪も中々のものだし。
一番、萌えるな。

でも、この子も強い。
援護を任せば神だ。
しかも、ちゃんと報告書を書けるのは明理珠と華音だけだ。

瞳は戦いたいだけだろ。
あれは萌に入らない。
デレ要素を無くしたツンツンだ。
あれが、ザンザスの前だけ…。
何を間違えたんだろう。


あ、話が脱線していた。
戻そう。



〈ごめんなさいです。
まだ、ミルフィオーレの復旧作業が進んでなくて…。
白蘭さんも忙しいんです…ごめんなさい。〉



ボンゴレに負けたミルフィオーレ。
ボンゴレの同盟になり、あの様な無茶はしない約束で復旧することになった。



〈さ…最近も寝てなくて…その。〉



「いいよ、いいよ。
大丈夫だから、わざわざありがとう。」



〈い…いえ。その。〉



すると、窓から人が入ってきた。



「いやー、華音チャンがそんな風に心配してくれてるとは。
僕は良い嫁を見つけたや。」



〈あ…白蘭さん。〉



「華音が断ってくれたからね、お言葉に甘えちゃおっかな。」



あの時、殺っときゃよかった…。



「じゃあ、帰ろっか。」



〈あ…はい、白蘭さん。〉



「何言ってんの、“さん”はいらないって言ってだろ?」



〈は…はい。
その…白蘭。〉



「よろしい。」



バカ3のバカが移って、華音とバカップルになってる。
ああ、オレの癒しが…。

ああ、消し炭にしたい。
Xバーナーの最大出力で、あの白い頭を黒いアフロに…。



「じゃーねー、綱吉クン!」



ドアがあるだろ、ドア使え。
バカ3は人間以下か。



とりあえず…。



「あ、獄寺君。
悪いんだけど、それ終わったら違う任務に急行して。

あ、拒否権ないから。

ついでにバカ…アホトリオ潰してきて。
お願いね〜。」



ツナは携帯を閉じて、一人呟く。



ばかなのか、あほなのか



(はあ、どっちもだな。)
(彼女は良い子達なのに…なんで…。)



お題サイト 378様より(真っ盛りなもので)
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