短編

□ばかなのか、あほなのか
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心地の良い昼下り。
ボンゴレアジトでは、ボンゴレ10代目ボスこと沢田綱吉が執務室で頭を悩ませていた。

原因は急に出てきた任務を誰に任せるか…。



「はぁ。」



獄寺君と山本を行かせたのは、マズかったな。
雲雀さんもお兄さんも帰ってこないし、ランボは使い物にならない。

やっぱ、アイツらしかいないのか…。



ツナは今までで一番深い溜め息を吐いた。



話は変わるが、ここボンゴレには最強3姉妹がいる。
実力もさることながら、その最強の意味は3人それぞれに溺愛しているバカがいるからだ。

10年前や3ヶ月ほど前までは畏怖の対象だった彼らだが、成長したツナにはバカにしか見えなくなった。
いや。厳密に言うと、彼らの過保護さがバカなのだ。

というより、バカ共はまだ来ないのか、何時間待たせんだ。



「バカとは何ですか、バカとは?」



あ、バカ1が登場。



「だから、バカ1とは何ですか!?」



「人の心ん中読むな、骸!」



赤と青のオッドアイに藍色の長髪。
髪形が自分はバカですと発している。
この男は六道骸。
とりあえず、バカだ。



「なんで分かんないんですかね?
僕の髪形の素晴らしさが…。」



あ。やっぱり、この上なくバカだ。



「明理珠が待ってるんです、早くしてください。」



「ああ、早速で悪いんだけ…。」



「断ります、では。」



骸は手を翻し、去ろうとした。
その時。



「うがっ!!」



『ほえ?』



アホだ。


鈍い音と共に入ってきたのは、例の3姉妹の長女である明理珠。

この子は物凄く良い子だ。
面倒見がよく、頭もキレる。
信頼も厚く、唯一ちゃんと敬語を使える子。
ただ2つの欠点が…。



『骸、大丈夫か?』



「………大丈夫じゃないです。」



『まさか、扉の前に居るとは思わなかったのだ。
すまない。』



一つ、天然と言えば聞こえはいいが、とりあえずドジ。
任務の時の集中力を、普段の生活でも生かしてもらいたいものだ。


2つ、何より骸の彼女。
もったいない。
ちなみに、雲雀と骸が事を起こした場合、唯一間に入って止めれるのも、オレに謝ってくれるのも彼女だけ。



あ…、もう一つ付け足すなら、部屋をノックするのを忘れるのは直していただきたい。
今回は骸だが、いつも扉の餌食になるのはオレか獄寺なのだ。



「というわけで、用は済みましたか?
僕は今から明理珠と愛を育み…。」



『あ!任務ですか?
骸、頑張ってね!!』



「いや…ちょっ……最後まで言わせ…。」



『何なら私が行きましょうか?』



おっ、明理珠が食いついた。
これは上手く運ぶかもしれない。



「じゃあ、明理珠。
この任務を…。」



「では、失礼します!!」



『ふびゃ!?』



骸は大声でオレの声を掻き消して行った。
隣の明理珠が不憫だ。
どっかのロン毛よりマシだから、大丈夫だろう。
誕生日プレゼントは耳栓で決まりだな。



すると、部屋に何かが飛び込んできた。
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