短編

□時間を自在に操れたなら
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貴方と私は、この世界で一番幸せだと思ってた。

でも、どこから変わっちゃったんだろうね?



『止めてよ、白蘭…。』



「どうして?全部、明理珠チャンのためなんだよ。」



彼は急に変わってしまった。


彼と出会ったのは三年前。
マフィアのボスの妹として、堅苦しいパーティーに出た時。



〈君が明理珠チャン?
初めまして、僕は白蘭って言うんだ!〉



その時、今まで私が見てきたマフィアを覆された。
兄とは違う、でも似てる。
そんな彼に惹かれたのは自然な事だったのかも…。

それからは毎日が幸せだった。



《ねー、正ちゃん。
今度の会合の事なんだ…。》



〈明理珠チャン、構ってよ〜。〉



〈白蘭様が仕事をサボるから、僕達に回ってくるんです。〉



〈………しょうがないなぁ。
明理珠チャンのためにも、一肌脱ぐか…。〉



《白蘭、頑張って!》



周りの全ての人が笑顔だった時間。

それが、いつの間にか変わってた。



〈って言うわけで、よろしくね〜。〉



《白蘭…。》



〈明理珠チャンか。
もしかして聞いてた?〉



《お兄ちゃんを殺すって、どういうこと。》



〈そのままの通りだよ。
よかった、話す手間が省けて。
元々、邪魔だったんだよね、ボンゴレ。〉



その時に気づいた、ジッリョネロの不可解な合併も。
正ちゃんの忙しそうな様子の理由も。

笑顔だったのは、私だけ。



「そうだ、明理珠チャン。
やっぱり君が他の男の視界に入るのは、不快極まりないんだよね。

一生、ここで一緒に過ごそう?」



ああ、貴方はもういないって、今さらになって気づいた。



時間を自在に操れたなら



(戻れるなら幸せだった頃に…。)

(そんな時間、あるのかも分かんないけど。)



お題サイト DOGOD69様より
 

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