短編

□TEST・WAGER
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「さあ、とりあえず勉強しましょうか。」



『骸、なんか怖いんですけど…。』



明理珠は頼れる人間が骸しかいなかったので、明理珠の家で勉強を教えてもらっている



「さて、まず課題を終わらせましょう。
じゃあ、初日の数学から。」



『マジですか。』



「マジです。
…歌帆に負けたくないんじゃないですか?
生半可な気持ちでは勝てませんよ。」



『学年15位と187番だもんね…。』



骸は明理珠の肩に手を置いて、優しく微笑む。



「大丈夫ですよ。
明理珠には、学年1位の家庭教師がついてます。」



『うん!なんかヤル気出てきた!!
よ〜し、頑張ろ!!』



とりあえず、ワークを開いてみるが、手の付けようがない。
明理珠の目には、お花畑が広がっている様にしか見えないのだ。



「………。」



『……………わかんない。』



「明理珠、教科書とノートを持ってきなさい。」



ノートを開くと、ミミズの様な字が…。



「普段、あれだけ寝てたら分からないに決まってますよね。」



『骸も寝てるじゃん。』



「僕は聞かなくても分かるんです。
じゃあ、三平方から…。」



そこから明理珠は、みっちり勉強させられた。



「骸君、明理珠。
はい、おやつのケーキ。」



『わぁ〜い、ケーキ!!』



「明理珠、このページ終わらせてからにしてください。
数学だけで1日潰れてるをだから。」



『大丈夫だよ。
社会と国語は50点取れるから!』



「全部、90点台にします。」



『マジですか。』



「マジです。」



明理珠の母はニコニコ笑いながら、お茶を入れる。



「骸君、ありがとうね。
もう、ビシバシやってあげて。」



「そのつもりです。」



『えぇ〜!!』



「骸君みたいな人が旦那になってくれれば…。」



「大丈夫ですよ、お母様。
僕が責任持って嫁にします。」



明理珠の母が「まあ、今日はお赤飯にしなきゃ〜」と出ていった。



「あっ、言ってなかったんですけど、テスト最終日まで泊まります。
お母様に頼まれたんで。」



『えっ。』



「部屋は弟君の部屋らしいんですが。
なんなら、この部屋で添い寝でもしますか?」



明理珠の顔は真っ赤に染まる。



『えっ、あー、っと、その〜、あっ!勉強、勉強。』



骸は勉強に励んでくれるのは嬉しいが、ちょっと複雑な心境だった。








テスト前日。



「国の人権侵害に対する救済や保障を求める権利は?」



『請求権!!』



「正解です。
なんとか一通り終わりましたね。」



『初めてだよ。こんな勉強したの。』



「大丈夫です。
ここまでやれば勝てますよ。」



『ありがと、骸。』



「明理珠も、お疲れ様です。
よく頑張りましたね。
さあ、明日に備えて寝ましょうか。」



部屋を出ようとする骸のシャツを引っ張る。



『まっ、待って。
その、今日は一緒に寝ない?』



顔を赤くする明理珠につられて、骸も赤くなる。



「そうですね。
弟君には、今日は徹夜になるかもと伝えてますし。」



『………歌帆には絶対に負けないから。』



「期待してます。」
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