短編

□純銀、輝きは目を潰すほどに
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「たっ…大変だ!!」


小太郎が食事中に駆け込んできた。


「どうしたァ、ヅラ。

また、オレに飯食われたとでも思ったのか?」


晋助が卵焼きを箸でつまみながら言う。


「違う!!

奴らが大勢の天人を連れて攻めてくる、という情報が入った。

たぶん攻め込んでくるのは明日だろう。」



私の中の時間が止まった。


『じゃあ、どうするの。』


「今から用意して、明日敵陣が空いた時を狙う。

皆、大丈夫か?」

「構わないぜ。
こんな時に辰馬がいりゃ助かったのになァ。」


「俺も大丈夫だぜっ!

……。
明理珠は行くのか。」

『…っ!わっ、私も行くに決まってるでしょ。』



ああ、あなたは行ってしまうんだ。

そして、私も…。


「それでは、急いで準備をしよう。
山を降りるのは一刻も早い方がいい。」



また、皆で青空が見たかった。







「明理珠!行ったぞ!!」


『分かってるわよ!
んなぐらい。』


明理珠は銀時と行動していた。


『あーっ!しつこい!!

ボスはまだ出ないの!!』

「そんな簡単に出てきたら、ボスキャラじゃねーだろ」

『確かに。』


二人はザコを倒しながら、敵の大将が現れるのを待っていた。

そんな中で、明理珠は思う。

やっぱり銀時が好きだと。そして、この戦いが終われば…。


「っ! 明理珠、後ろだ!!」


「えっ!」


気を取られて気付かなかった。

次の瞬間、目の前が真っ赤に染まった。








気がついた時、明理珠は銀時に背負われていた。

『ぎっ……銀…時っ。』

「気付いたか?」

『ごめん…。迷惑かけた。』

「気にすんな。俺も一瞬、気付くのが遅れた。

すまねぇ。」

『なんで銀時が謝るのよ。そんな傷だらけなのに、私を背負って…。』


しばらく沈黙が続く。


『銀時あのね…』

「待てっ!

俺の話、聞いてくれねぇか。」


明理珠は頷く。


「…俺、その…。

お前が好きだ。」

『えっ!?』

「今まで何度も諦めようと思ってた。

でも昨日、これが最後かもって思ったら、どうしてもって思って。

ぜってー、お前の迷惑になるって思ったから。
でも、俺、やっぱ…。」


『…銀時。』


「はっ…はいっ!」


銀時の耳は真っ赤だ。


『大好き…。』

「ホントって、明理珠!!
大丈夫か!?

明理珠!?」







夢を見ていた。

真っ暗な闇の中で、泣きそうな私の前に、綺麗な銀色の炎が眩しく輝いていた。
その光が眩しすぎて、涙がどこかに消えてしまたんだ。


彼がここにいてくれる。

純銀、輝きは目を潰すほどに

(青空はなくてもいい。)

(だって諦めなくて、よかったから。
私には銀色の光があるから。)




お題サイト DOGOD69様より
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