短編

□浮気×嫉妬=
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一通り聞いた続は、ため息を吐く。


「なんだ、そんなことかよ。」


『そんなことじゃない!』


明理珠は涙を浮かべて、続を怒鳴る。


『ずっと、続は私のこと好きだって思ってくれてると……。
私の事を一番に思ってくれてると、思ってたのに。
なのに、浮気しちゃうくらい、月宮が良いんでしょ?
美人だし、胸あるし、美人だもんね!』


「何言ってんだ。」


『続のこと、ずっと一途に思ってたのに。
私、バカみたいじゃん!』


「誤解だ。あれは…。」


『本当にバカみたい。
もう、続なんて知らない!』


「あぁ…もうっ……。」


明理珠の言葉を塞ぐように、続は明理珠に口づける。


『なっ……わ、私は怒って……。』


「あれは、月宮に仕事を任せてただけだぜ。
報酬に合わないから、何か奢れって言われて……。」


『信じられない!』


「信じろ!」


続が、明理珠の肩を掴み、じっと目を見つめる。


「俺が、お前に嘘なんて吐くかよ。
お前を一番に思ってないわけ、ねーだろ!」


『そんなコト言われたって……。
そんなコト言われたら、続のこと……許しちゃうじゃん。』


「だから、俺は悪いことしてねーよ。」


続はニッと笑う。


「これって、俺に嫉妬してくれたってコトだよな。」


『そ、そんなことっ!』


「顔、真っ赤だぜ。」


『うるさい!
そんなことだらけだよ……バカ。』


――――――――――――


数日後。


「おい、花村。
ちょっと来い。」


「何ですか、続。」


「これ、ちょっと見……。」


『あーっ!!』


明理珠は、二人を指差し叫ぶ。


「何だ?」


『続が、花村さんとイチャイチャしてる!
この浮気者!!』


「止めろよ、イチャイチャとか。
気持ち悪っ。
花村となんて、ゾッとするぜ。」


「私も同感です。」


『近づかないで、変態っ!不純っ!』


「ちょっ、明理珠!」


続宅からは、今日も元気な声がする。


浮気×嫉妬=


〈嫉妬してくれんのは、嬉しいし。
男冥利に尽きるけど……。〉


《浮気した手で触らないで、変態俺様天使っ!》


〈これは……ないだろ……。〉

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