短編

□隣で笑っていてくれるのなら
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〈明理珠さま。〉


優しい声が聞こえる。
それは、とても大切な私のパートナーの声。

この声が好き。
この人がいないと、何にも出来ないの。


いつも支えてくれて、ありがとうございます。
これからも、私の大好きな貴方でいてください。



『おはよう、双熾さん!』


「おはようございます、明理珠さま。」


目の前で柔らかい笑みを浮かべるのは、御狐神双熾さん。
私のSSです。


『ごめんなさい、いつも待たせちゃって。』


「謝らないでください。
これは僕の仕事であり、生きがいなんです。」


この返事も、すごく丸くなった気がする。
最初なんか、双熾さんは涙目になっちゃうし、私も慌てるし。
とてつもなく、すごかった。


「明理珠さま。」


『ん?』


「早く食事を取りに行かなくては、また遅刻してしまいます。」


『ほえっ!?』


時計は15度も進んでいる。
ということは、5分も玄関先でぼーっとしていたことになる。


「僕としては、明理珠さまのお顔を拝見出来て、心底嬉しいのですが……。」


『そんなことより、双熾さんっ!
早く朝ご飯、食べに行かなきゃ!!』


こんな抜けてる私を、優しくサポートしてくれる双熾さん。

ご飯の用意も、買い物も、送り迎えだって。
本当は自分で出来るけど、全部お世話になってる。
最初は断ろうとしてたけど、双熾さんの怖い笑顔には、勝てなかった。

それでも、今は自分からお願いしちゃってる。
甘えてるのかもしれない。
でも、それ以上に双熾さんと出来るだけ一緒にいたいって気持ちがあるのは、確かだから。


『わっ!遅刻する〜!!』


「僕が責任を持って、学校に間に合わせます。
しっかり掴まっていてくださいね。」


『うっ、うんっ。』


そう。
私には双熾さんがいないとダメなんだ。
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