上田の忍姫(BRAVE10・才蔵夢)

□ACT5.護る戦
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才蔵は悠紀の頭を撫でる。


「後は任せとけ。」


『こっ、子供扱いしないでよっ!』


伊佐那海は笑みを浮かべる。


「才蔵!」


「うるっせえ!」


「あ。」


才蔵は伊佐那海の裾のクナイをとる。


「さがってろ、伊佐那海。
悠紀もな。」


『で、でもっ!』


「狙われてる時くらい、大人しくしてやがれ。」


「あ…あいつ強いよ!
気をつけて!」


「フン。
負ける気はしねえなあ。」


才蔵は不敵な表情で構える。


「瞬殺だ、コラ。」


「……キミさ。
驕れる者は久しからず…って、言葉知ってる?」


「ケッ。
知るか、んな言葉!!」


才蔵は半蔵の懐に入るが、避けられてしまう。
上から落ちてきたクナイが才蔵を襲うが、それは分身だった。


「もらった!!」


背後を取った才蔵が、摩利包丁を抜く。

それに対し、半蔵は刀を抜き、摩利包丁を止める。


「くっっ!?」


才蔵は間合いを取る。


「のヤロッッ。」


すると、才蔵の額がパックリと切れている。


『才蔵が……!?』


「キミね……平家物語とか読んだほうがいいよ。
生きていられれば、だけどね。」


悠紀が武器を持ちなおすが……。


「悠紀!
来るんじゃねえ!」


『でもっ……!』


「才蔵!!」


「テメェ、ヒトのツラによくも……。」


「もっと増やしてあげますよ。」


「ぶっ殺す!!」


才蔵は一気に間合いを詰める。


「!!くっ。」


受けられた才蔵は、半蔵から離れながら、クナイを投げる。
クナイは見えなくなり、半蔵に向かう。


「摩利支天の妙技ってヤツよ!!
見えなきゃ、よけられやしねえ!!」


「問題ない。」


半蔵が刀を一振りすると、クナイが地面に落ちる。


「すべて――――叩き落とせばよい。
遅いよ!
噂に聞いた天才忍者も、こんなものか。
しょせんは目くらまし。
たかがしれている。

あまりの強さに、誰も傷つけられぬゆえ、摩利支天の異名を持つ、伊賀の霧隠……。
何度、その名を聞いたことか。
次は、こちらからいくぞ。」


半蔵は一瞬で才蔵の目の前に来る。
ギリギリで、才蔵は刀を避ける。


「クソッ。」


才蔵の腕に、刀が突き刺される。


『才蔵っ!!』


「だから、遅いって。」


「ふざけんなっ。」


才蔵が摩利包丁を持ち変えた瞬間、半蔵に飛ばされてしまう。


「ハイ、残念。
オン・ソンバニソンバ・ウンバザラ・ウンパッタ。

奥義・火生三昧!!」


才蔵は全身を斬られる。


『才蔵っ!!
ダメっ、やめてぇぇ!!』


「才蔵ォ!!
きゃ…さっ…才蔵…。」


悠紀は才蔵に駆け寄り、受け止める。


『才蔵っ……しっかりしてよ……才蔵……。』


「ゴッ、ゴホッ…うう…う…。」


『才蔵……。
今、助けるからっ…!』


半蔵が伊佐那海に近づく。


「ヒドイ……ヒドイ、ヒドイっ!!
アンッ…タ…。」


『伊佐那海っ!!』


「お嬢さんの力は、聞いてるよ。
ちょっと黙ってて、くださいね!」


「伊佐…那海。
クヌッ……。」


半蔵は、悠紀に近づく。


「悠紀………逃げ…ろ…。」


『才蔵と伊佐那海を置いて、逃げれないよ。
大丈夫だから。
護るから……。』


悠紀は才蔵を寝かせる。


『負けるわけにはいかないよ。』


悠紀は足でリズムを取る。


『伊賀流棒術・拍』


そして、リズムを不規則に変えながら、半蔵に攻撃を繰り出す。


「流石は、忍の姫。
ですが、その程度では……。」


『磯城!』


「なにっ!」


悠紀は棒を回転させ、半蔵の攻撃を防ぐ。


『燦!』


悠紀が棒を撫でると、眩しく光る。


『衝!!』


悠紀の突きが、半蔵の当たる。


『やっ……!』


「悠紀……!!」


「捕まえた。」


棒ごと引っ張られ、悠紀は半蔵の腕の中に。


『放してっ!』


「それは聞けませんね。
お勤めですから。」


『何で……っ!』


「あれくらいの光なら、目潰しにはなりませんよ。

さあ、行きましょうか。」


半蔵は伊佐那海に向かって歩き出す。


『(このままじゃ……!)』

その時、半蔵の腕に一匹のミミヅクが止まった。
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