上田の忍姫(BRAVE10・才蔵夢)

□ACT2. 川の再会
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鳥の声に、才蔵は目を覚ます。
すると、右側からは寝息が聞こえ、左側からは腕に温かみを感じる。

覚醒した才蔵が、左右を見ると、悠紀と伊佐那海が両側で横になっていた。
しかも、寝巻をはだけさせながら。


「〜っっ。」


声にならない声をあげた才蔵は、二人を布団から放り出す。


『さむっ……。
才蔵〜、何で追い出すの?』


「なんで、毎日毎日、俺の布団に入ってくるんだ!?」


「なによう。
いーじゃん。
さんにんで寝れば、あったかいし。」


『「ねー。」』


女二人は、口を揃える。


「そばにいるって、約束でしょ!?」


「……あのなぁ、俺は男でお前は女だろ!?
少しは恥じらいっつーもんを……。」


『えーっ。
いっつも、一緒に寝てたじゃん。』


「そうよ。
いらないわよ、そんなの!
アタシ、才蔵のこと好きだもん!」


才蔵は目を丸くして、申し訳なさそうな顔をする。


「す…すまん。
今まで、気づかなくて…。」


「あ。でも、Hはナシよ。
巫女だから。」


「え!?」


悠紀が才蔵を睨む。


『才蔵は、すぐに女と寝る、助平だったんだね。
私と旅してた時も、女とイチャイチャしてたんだね!』


「いや、それは誤解で……。」


『問答無用っ!』


武器の棒で、才蔵の頭を叩く。


「大丈夫だよ、悠紀。
私は悠紀のこと、才蔵より好きだから。」


『ありがとう。
そう言ってくれるのは、伊佐那海しかいないよ。』


すると、障子が勢い良く開かれる。
佐助が両手に盆を持って、入ってくる。


「飯。」


「!
おはよう、佐助!
ご飯、ご飯


『今日はお魚?
あ、ここは内陸だから、お魚じゃないか……。』


「う…うん。」


佐助は、悠紀と伊左那海に頬を染める。


「!!」


才蔵が、いきなり布団を盾にする。
すると、クナイが大量に突き刺さる。


「フラチな奴めっ。」


「地獄に落ちろっ。」


「毎朝毎朝、のぞいつんじゃねー。
真田忍!!」


「いーじゃない、妬いてんのよォ。
こぉんなカワイイ娘二人と、同室同衾なんだもの!
恨まれても、しようがないって!」


服を羽織る才蔵に、悠紀が言う。


『ごめんね、才蔵。
なんか、迷惑かけちゃって……。』


「そう思うなら、出てけ。」


『ひっ、ひどっ!
それとこれとは、別問題なんだからっ!!』


不貞腐れる悠紀の頭を、才蔵が撫でていると、外を葵紋の笠を被った男が通る。


『徳川?』


「悠紀、行くぜ。」


伊佐那海が振り向いた時、二人の姿は無かった。
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