桜契り(妖狐×僕SS・御狐神寄り)

□第十話 繋がる猫
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――自分の事くらい、自分が一番知っている。
この性が、運命が、全てが憎い。

誰かを傷つけるくらいなら、いっそ……――


『さよなら、皆。』


桜稀はフードを被り直した。


――――――――――――


目の前で、自分の手を擦り抜けていく桜稀。
それを掴む事が出来なかった双熾。

その罪悪感は、凛々蝶に痛いほど伝わってきた。


「すみません……。」


「すみませんじゃねえよ!!
あいつが不安定なのに、何で止めなかった!!」


「すみません……。」


「てめえのせいで、桜稀に何かあったら……!!」


「空琥。」


凛々蝶は頭を下げる。


「何の真似だよ。」


「SSの失態は、僕の失態だ。
すまなかった。」


「…………。」


「僕にも責がある。
桜稀が家出するほどの心労をかけてしまったのは、私のせいだ。」


空琥は下を向く。


「……すまねえ、八つ当たりして。
双熾が悪ぃ訳じゃねえよな。
俺だって、桜稀の異変に気づけなかった……。」


「…………。」


「だから、頼む。
桜稀を探してくれ。
多分、今のあいつは不安定だ。
精神的なことだけじゃない。
あいつの先祖返りの血が、暴走しかけてんだ!」


「先祖返りの血が……?」


「手遅れになる前に、助けてやってくれ!!
あいつに、これ以上の物を背負わせたくねえ!!」


空琥の言葉に、凛々蝶と双熾は、他の住人を呼びに走る。


「……もう嫌なんだ。
お前が辛い思いすんのも、誰かのために我慢すんのも。
だから、俺は……。」
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