桜契り(妖狐×僕SS・御狐神寄り)

□第四話 慕われる猫
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『はぁっ!?
狸が帰ってきた?』


朝から、桜稀の声が響き渡る。


「ああ。
昨日、残夏が来てよ。」


『…………嫌な予感がする。』


久しぶりの休日故に、ラフな格好の桜稀は、階段で降りる。


『そうか……何も起こらなければ……。
それはないな、さすがに。』


「あいつらだかんな。」


二人がラウンジにつくと、双熾と凛々蝶が向かい合っていた。


「何だ?
また、いつものセクハラ発言か?
俺の桜稀を、変な目で見んなよ。」


「そっくりそのまま、返させていただきます。」


『朝から、元気だな。』


すると、凛々蝶が止める。


「君、それどころじゃないだろう。今日は。
勝負の内容は、何だ?
作戦は練ってあるのか。」


「勝負と申しますと?」


「君…聞いてないのか…?」


ニコニコする双熾に対し、桜稀と空琥はやっぱりかと呆れ顔になる。


『飽きないな。』


「本当に。」


その時、双熾と空琥にウサ耳の男が抱きつく。


「そーたぁん空琥たぁん


「うげっ、近づくなっ!」


ウサ耳の男、夏目残夏はハートを飛ばしながら言う。


「桜稀たんも、久しぶり。
可愛いねー、今日も。」


『可愛いくはないぞ。
久しぶりだな、残夏。』


「あぁん。
そーたんと空琥たんと一緒に働けるなんて、思わなかった〜。
声、かけてくれれば良かったのに〜。
桜稀たんも一緒なんて、すっごく嬉しいな〜。

あ、ちよたん。
昨夜ぶりー


凛々蝶は、若干引きながら、双熾と桜稀に尋ねる。


「な…友人か…?」


「旧友だよ


『まあ、そんなとこだ。』


「お久しぶりです。
ご無沙汰しております、夏目さん。」


「ちっ、近づくなっ!
俺、ベタベタされるの、超苦手。」


「随分な温度差だな…。」


残夏は頬を赤く染める。


「そーたんて、相変わらずドライ…。
でも、ボク。
そーたんになら抱かれてもいい…。」


「ありがとうございます、光栄です。」


「光栄なのか…。」


『そんなわけないだろ。』


野ばらと反ノ塚が机に座りながら、冷めた視線を向ける。


「何アレ。
男同士とか、キモっ。
ありえなくない?」


「まぁ…食指も人それぞれだからなぁ…。」


「………。」


双熾は、凛々蝶に説明する。


「夏目さんは、以前の主の友人で、親しくして頂いておりました。
旧友と言って頂けたように、古くからお付き合いさせて頂いております。」


「幼なじみみたいなものか…。」


「桜稀と空琥も、良く遊びに来てたよね〜。」


『好きで行ってたんじゃねーよ。』


「そうだ、そうだ。
あんな、魔の巣窟みたいな所!!」


「おい。」


声がかけられ振り向くと、金髪の少年が仁王立ちで指を差して立っている。


「敵と馴れ合うんじゃねーよ。
どっちの味方だ!!

今日こそ、ケリつけてやんぜ。
狐ヤロー!
久しぶりだな、九尾の妖狐。
ここで会ったが、百年目ってやつだ。
首洗って待ってたか、宿敵!!」


「お久しぶりです。
ご無沙汰しております、渡狸さん。」


「随分な温度差だな…。」


渡狸は桜稀を見て、目を輝かす。


「桜稀姐さん、お久しぶりっス。」


『卍里。
お前、変わらないな。』


90度に曲がった渡狸の姿は、舎弟そのものである。


「桜稀姐さんも元気そうで、良かったっス!」


「おい。
狸風情が、桜稀に近づくんじゃねー。」


「お前は黙ってろ、狼野郎!!」


「狼じゃねーよ!
俺は鬼だ、鬼。夜叉だっての!」


『はいはい。
お前ら、どっちもどっちな。』
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