桜契り(妖狐×僕SS・御狐神寄り)

□第三話 強き猫
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――私が強くなろうと思ったのは、周りの人を守るため。
きっかけなんて、覚えていない。

でも、それは……自分のためだった気がする――


――――――――――――


「凛々蝶ちゃんと桜稀の制服姿…メニアックッッ!!!」


朝一に言われた言葉は、それだった。


「ふん。
今日から、学校だからな。
おはようございます…。」


『てか、俺はいつも着てるぜ。』


「ピカピカの高校一年生と三年生だものね!!」


『だから……っ!』


「沢山お友達、できるといいわね
ところで、ニーソと太ももの間に、指入れてみてもいい?」


『「良くない。」』


野ばらは頬を赤らめ、二人を交互に見比べる。


「ベストとブレザー。
こうやって並ぶと、姉妹みたいね。」


「桜稀が姉様……。」


『俺に、こんな可愛い妹は似合わねーよ。』


すると、双熾と空琥が飛んでくる。


「凛々蝶さま…!」


「桜稀!!」


「ここに居らしたのですね…っ。
おはようございます…!!」


「なんで、お前が起きてるんだっ!?」


『凛々蝶にモーニングコール、してもらったから。』


「俺は……俺はもう、必要ないのか!?」


『ああ。』


桜稀が空琥をあしらっている間に、双熾は恍惚とした表情で凛々蝶に礼を言う。


「昨夜は、丁寧なメールをありがとうございました…。
感動致しました…。」


「あんなものは、メールを打つ練習をしてたついでだ。」


「毎日、寝る前に読み返しますね…!」


「何?
かせ、消してやるっ。」


「ダ〜メ〜。」


「何が【ダ〜メ〜】か!」


「それに、もうPCやSDカードにバックアップを取った上、メール預かりセンターにも預けました。」


「そこまで…!」


桜稀が真面目な顔でつぶやく。


『……一歩間違えると、ただのへんた……。』


「うわー!
引かれてやんの〜!」


「空琥さんこそ、桜稀さまに頂いた物を……。」


「いっ、言うなっ!!」


野ばらが、凛々蝶に尋ねる。


「そんな事より。
凛々蝶ちゃん、ドレスもう買ったの?」


「ドレス?」


「明日の懇親会のドレス


『ああ、明日か。』


懇親会は、入学式とは別のパーティーである。


「ぬかりはない。
実家から持ってきた。」


「桜稀は、今年もパンツスーツ?
もったいない。
こんな綺麗な脚してるのに。」


『誰が、ドレスなんて着るか。』


双熾と空琥、野ばらは朗らかな雰囲気だ。


「トップで入学し、新入生代表……、学年首席で、生徒会長……。
お二人とも、鼻が高いです。」


「前で喋るんだろ?
俺、一番前で見ててやるからなっ!」


「明日、絶対に見に行くから
デジカメで撮影しなくちゃ


「君達は、父兄か。」


すると、ダラーっと反ノ塚が爪楊枝片手に言う。


「懇親会か〜、懐かしいな。
あったなぁ、そんなの。
2年前。」


反ノ塚の学ラン姿に、一行は固まる。


「…お兄さまは、高校生でいらしたのですね。」


「似合わねー。」


「ね!?見えないわよね。
絶対、ニッカポッカか取り立て屋よね!?」


「そういえば、まだ高校生だったな…。」


『蓮勝と私、同い年だぞ。』


「お兄さまは、大人びて見えますね。」


「フォロー、ありがとお。」


そんなこんなで、新学期の朝は始まった。


――――――――――――


『凛々蝶。』


「桜稀!」


校門の前で、桜稀は凛々蝶を発見する。


『双熾は?
まだなのか……?』


「ああ。」


『あんの野郎。』


「違うんだ。
随分、時間が余ってしまって……。
歩いて帰ろうかと……。」


『じゃあ、俺も一緒に帰るかな。
いいか?』


「あっ、ああ。」
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