桜契り(妖狐×僕SS・御狐神寄り)

□第二話 買い物猫
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「凛々蝶さま…。
本当に、行ってしまわれるのですか。
僕を捨てて…。」


「すぐ戻る。」


「すぐとは…?
離れている間の一瞬が、千秋のように感じてしまうのに…。」


「君。」


「凛々蝶さま…っ。」


「主人の命令も聞けねえなんてな。
SS失格じゃねーの?
な、桜稀。」


『そう思うなら、手を離せ。
この、バカが。』


「俺は、お前のためなら、SS失格でも構わねえ。」


『じゃあ、帰れ。』


「ここで、ずっとお帰りをお待ちしております…!!」


「何があっても、待ってるからな。
絶対に帰ってこいよ。」


『「トイレぐらいは、普通に行かせんか!!」』


――――――――――――


〈ゴールデン・レトリバー。
大好きな主人の側に居るだけで、世界中で一番幸せといった表情をしてくれます。
しかし、相当淋しがり屋ですから、屋外飼育は難しいです。
常に家族とコミュニケーションのとれる、室内飼育が良いでしょう。〉


モニターに映る映像を見ながら、凛々蝶はげんなりする。


「凛々蝶さま…やっとお会いできた…!!
ああ、貴女の在ない時間とは、なんて空虚なのでしょう…。」


「(似てる…。)」


〈ドーベルマン。
難しい訓練にも耐えられる非常に頭の良い犬です。
飼い主に対しては非常に従順です。
与えられた命令は必ず果たそうとする忠誠心と忍耐力を持ちます。

しかし、家族以外の人間、犬に対しては警戒心が極めて強く縄張り意識も高い為攻撃的になり易いです。
咬傷事件も多く発生しています。
飼育する場合は厳しい訓練や適切なコミュニケーション、十分な運動を行える生活環境や知識が必須です。
初心者や時間のない方には、オススメできません。 〉


今度は、桜稀がげんなりする。


「桜稀、まさか便所にはまったりしてねえよなっ!
水が跳ねて、ビシャビシャってコトもねえよなっ!
あっ、ハンカチ貸してやるよ。

って、双熾。
何、桜稀を見てやがる!
俺の桜稀に近づいたら、八つ裂きにすんぞ。」


『(似てる…。)』


凛々蝶と桜稀は目を合わせる。


『「(帰りたくなってきた……。)」』


ここは、とあるデパート。
何故、こんな所に居るかというと、3時間前に遡る。
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