桜契り(妖狐×僕SS・御狐神寄り)

□プロローグ
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桜の木の下で誓いを立てると、実現させられるらしい。

風の噂で聞いたそれを、実践しようとする二人がいた。


『だからな、お願い事するんだ。
分かったな。
私の事じゃないぞ、自分の事だぞ。』


「桜稀さま。
願い事ではなく、誓いだったかと……。」


『…………?
とりあえず、お願いすればいいんだろ?』


彼女はただ、自分を気遣えない青年のために。
彼はただ、まだあどけない少女のために。


『お願い事じゃなかったら、私は何を誓ったらいいのだろうか……。』


「それでは、桜稀さまの誓いを、僕に決めさせてください。
貴女に、僕の誓いを決めていただくかわりに。」


『交換するのか?
いいぞ、いいぞ。』


少年と少女の指が絡む。


「僕からは、無理をしないと誓っていただきたいです。
誰かのために、桜稀さまが傷つくのは、見ていられません。」


『出来ないかも……。
だって、困ってる人見たら、助けたくなっちゃうじゃん。』


「お優しい桜稀さまは、そう思われると思います。
ですが、僕が見ていて気が気じゃありません。
守っていただけますね?」


『仕方ないな〜。
じゃあ、私からの約束ね。
絶対に、凛々蝶ちゃんを守り切ること!』


「もちろんです。」


『あと、もっと自分を大切にすること。
爪切りは、限度を守ること……それから、それから……。』


「桜稀さま。
僕ももう一つ、誓っていいですか。
これは、僕自身に。」


『うん、いいよ。』


来世でも、貴女の傍に。
 

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