薄桜学園3年Z組

□嬉しい時くらい、素直に喜びなさいっ!
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今回は、沖田氏と椿のお話です。


――――――――――――


「………………。」


【沖田総司】
薄桜学園高等部3年Z組在籍
剣道部員兼風紀委員
そして、遅刻魔

彼の手には、一枚のチケット。


「…………。」


そして、錆びれた建物、【鬼兵隊】と呼ばれる不良グループのアジトを前に佇んでいた。


――――――――――――


「「「「Wデート!?」」」」


叫ぶのは、発案者である左之助以外の四人。


「俺ら、向日葵達を怒らせちまってんじゃんかよ。
だから、慰め……。」


「左之さんは、安易な方法しか思いつかないんだね。」


「そんな簡単に行くなら、誰も苦労はしねえよ。」


「それ以前に、Wではないだろうが。
貴様はそんなこともわからん、バカなのか?」


「いやいや、これはいけるだろ。」


左之助が取り出したのは、公開直前の映画のチケットだった。


「あいつらの性格からいって、一対一のデートには持っていきづらいが。
女五人、男五人なら警戒もない上に、見たかった映画も見れる。」


「…………そんなもんなのか?」


「意外とな。」


一人づつ、チケットを取っていく。


「それより、何故俺もなんだ?
俺と千鶴は別に……。」


「お前も千鶴と映画見たいだろ?」


「そっ、それとこれとは……。」


「一緒だって。
千鶴だって、皆と一緒なら絶対に断らないしな。」


男五人はチケットを見つめる。


「今年のゴールデンウィークは、Wデートで決まりだな。」


「だから、Wデートではないだろうが。」


――――――――――――


このやりとりを終え、最初に動き出したのが、総司だった。


「………………ふぅ。」


総司は扉に手をかける。


「お邪魔しまー……。」


バンバンバンッ!


開けた瞬間に出迎えたのは、愛しい彼女ではなく、死と隣り合わせの銃声だった。
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