薄桜学園3年Z組

□いや、テスト返却にそんなオマケはいりませんよ
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聞くたびに憂鬱が増量する、珍回答発表会。
着実に一人づつ、耐えかねて脱落していく。


「勉強してなかった俺が悪かったよ!
勘弁してくれっ!!」


「まさか、また平助に騙されてたのか、俺?
それはノーカンだろ、平助が悪ぃんだからっ!」


「マヨネーズの何が悪い。
調味料といえば、マヨネーズだろうが!」


「野党を三つ答えろなんて、知らないネ!
【砂糖・グラニュー糖・ブドウ糖】のどこが間違いアルか!?」


もう、戦場に残っているのは、少ししかいない。
そして、一番焦っていたのは、この男。


「(何で、あの四人だけ珍回答がねーんだよ!
残るは、現国しかねえ……。
って、歳三に至っては教師だから、間違えようがねえじゃんかよ!
しかも、問題作ったのもアイツだし……。)」


そう、諦めの悪い四人の男……いや、兄達は再びやっていたのだ。
妹の男を何としてでも、潰す計画を……。


「(てか、俺一人に任せるなよ。
しかも、蓮達の方が、着実に大切な何かを奪われていってる気が……。)」


『知るか〜!
私の頭は、分数の計算までで止まってるんじゃ〜!!』


『………何でXYxyがこうなるんじゃ?
意味が分からん……。』


『大鳥の兄ちゃん。
すまねえ、分かってるから……補習だけは止めてくれー!!』


『どうしてhadなのよ、意味わかんない。
私は、そろばんしか分かんないのよ!』


結局、バカの妹は賢そうでバカだったらしい。


「(知らなかったぜ。
あいつらが、あそこまでバカだったとは……。
それに比べて……。)」


総司は解答用紙の上で、爆睡中。
左之助は落ち込む新八と平助を慰めている。
風間はサボり。
土方にいたっては……。


「これで、少しはやる気を見せてくれりゃ、良いんだが。」


と銀八の真横で呟く。


「(探せ、探すんだ。
俺なら出来る。
自分を信じろ、銀八ィィィ!)」


すると国語の問題に、記述のものを発見する。


「これは間違えてんじゃねえのか?」


土方の問題である以上、一問はあり得なく難しい問題があるはず。
そう思った銀八は、答えをスクリーンに映す。


「左之助の答えな。
えーと、【あいつ一人いれば十分だから、いらねえ】。」


銀八は頭を抱える。
「(ちょっと待て、どうなってやがんだ?
何の問題なんだ?)
総司は【勿論、あの子】。
風間は【アレ】。

本当に何なんだ、コレ?」


銀八が解答を見ると、模範解答は【猫】と書いてある。


「……なあ、歳三。
この問題、何?」


「サービス問題だよ。
3Zにも取れるようにと思って作ったのに、あいつら指示語ばっかり使いやがって。」


銀八が手近にあった問題を読む。


《あなたが主人公のように何か一つ選ばなければならない時、何を選びますか?》


この時、歳三や総司、左之助の頬が染まっていたのに気づいたのは、ごく数人だった。
しかし、気づいて欲しいと思っていた相手には届いておらず。


『あいつって、誰じゃろうか?
調子に乗ってるようなら、釘刺さないと。』


『あの子……って、だれのことかしら?
いい加減、総司さんも分かってると思ってたのに。』


『俺より大事なのは、やっぱり会長机の上のぬいぐるみかっ!?
最低だっ!あのストーカー鬼!!』


『猫……そうか、猫か。
猫より大事な奴がいるだろぅが!!』


四人の怒りは爆発し、3Zの教室は地獄絵図となった。
その後、珍回答を発表しようなんて言うものには、鬼の鉄槌が落ちることになったのは、言うまでもない。


「(とりあえず……上手くいったのか?)」


案外、思わぬトコでほっとしていた兄'Sであった。


いや、テスト返却にそんなオマケはいりませんよ
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