薄桜学園3年Z組

□せやから、作戦会議をしよう!
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夏休み。
それが始まったのは、7月の24日。
そう……大量の宿題と共に。

しかし、薄桜学園剣道部には、関係のない話である。
なぜなら……。


『何で、勝ってもうたんやろ。』


『わてにも分からん。
あんだけ、練習してないねんで。
なのに、何で県大会を優勝してもうたん?』


『それは、あなた達がバカだからよ。
考えもなしに、本番で勝つんだから。』


『しかも、男女一緒にやで。
余計に、意味分からんわ。』


『そうやな。
ってか、関西弁って難しいんだけど。
意味分かんなくなってきた。』


すると、剣道場に声が響く。


「てめえら、練習しとけって言っただろうが!!」


眉間に皺を寄せて、歳三は歩いてくる。


「練習はどうした。
何で、トランプが広がってんだ。」


「だって、ねえ。」


「俺ら、勝つつもりはなかったんだぜ。」


「適当にやってたら、勝っちまったんだよな。」


「新八は、土方さんの焼き肉で釣られたんだろ。」


そう。
勝つ気があったわけではないのだ。

ただ、何故か勝ってしまった。


『まあ、対戦相手が弱かったしな。
俺らが、負ける方がムズいって。』


『なんか、ジャンプの熱血学園物みたいじゃね!?
そう思ったら、燃えてきた〜!!』


『……はあ。
夏休みはバイト(兄様との予定)が詰まってるのだけど。
それに、総司さんが練習じゃ、遊びに行けないわ。
男女共、棄権にしましょう。』


『そうじゃな。
はい、決定ー。』


「待てぇぇぇ!!」


土方は、勝手に話を進める四人に、ストップをかける。


「とにかく、勝ったのはお前らだ。
勝ったら勝ったで、責任を持て。」


『えー。』


『いや、面白そうじゃね?』


『はっ、バカめ。』


『椿ちゃん、酷いっ!』


向日葵が手を挙げ、進言する。


『勝った場合の利点はないのか?
そうじゃないと、私達も……。』


「よしっ。
ベスト8入りしたら、現国と古典の宿題を無し。
優勝したら、現国と古典の成績を10にしよう!」


「はあっ!?
誰が許すか……って、銀八!」


「そうでもしないと、あいつら何もしてくれないって。」


銀八は苦笑しながら、剣道場に乗り込んできた。


『仕方がない。
じゃあ、やろう。』


『優勝して、成績UPね。
まあ、悪くないわ。』


『マネージャーもじゃな。
そうじゃなきゃ、頭に風穴空けるぞ。』


渋る歳三に、銀八は追い討ちをかける。


「今年は、どこの部活も不調だったからな……。
剣道部が優勝すれば、校長が喜ぶと思うんだけど……。」


「……分かった。
その代わり、絶対に優勝しろ。
もし、負けたりなんかしたら……。」


歳三の形相に、部員一同は正座する。


『『「「がっ、頑張ります!!」」』』


こうして、薄桜学園剣道部の大会出場が決まったのだ。
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