薄桜学園3年Z組

□試食して腹壊したら、どう責任とるんじゃ!
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『皆の者。
装備はいいか?』


『持っているだけじゃ、意味ないからな。
装備してナンボだからな!』


意気込む蓮と蘭の頭にはバンダナが。
腰にはエプロンが巻かれている。


「お前ら、エプロン似合わねーな。」


『平助。お前、何だ?
喧嘩売ってんのか?』


『それにしても、可愛いねー。
そのバンダナ。』


「うるせっ!」


バンダナを忘れた平助は、千鶴から借りた花柄のバンダナをしている。
なので、今日の二人は平助に言われたところで、痛くも痒くもないのだ。


「まずは、食材だよな。」


『左之助さん。
これじゃ、これ。』


「おお、ありがとな。
クレープって、初めて作るから、迷惑かけると思うが……。」


『大丈夫じゃ。
左之助さんは、このフルーツを切っておいて……。』


すると、向日葵の頭にバナナがぶつかる。


「だっ、大丈夫か!?」


『…………。』


「悪ぃ、悪ぃ。
まさか、そんなところにいるとは思わなくてよ。」


「すまねえな。
向日葵に左之。」


バナナを投げ合っていたらしい、不知火と新八。
二人に向日葵の雷が落ちる。


『二人とも……。』


二人が渡されたのは、大きなボールと大量の小麦粉。
それと、卵や砂糖などの材料だ。


『あなた達の仕事は、それを永遠に混ぜ続けることじゃ。
私が良いというまで、【普通の泡立て器】で回し続けろ。

あの、桂兄のように。
分かったな。』


二人は、口に×マスクを付け、卵を割り続けている桂を見て、冷や汗が流れる。


『分かったな。』


「「は…はい。」」


「「あの……僕らは?」」


気まずそうに言ったのは、新八と山崎退だった。


『いたの?
……じゃあ、端で見てて。』


そう言われて、余計に暗くなった二人に、左之助が苦笑しながら言う。


「仕方ねえし、お前らも切るか?
果物の量、半端ねぇんだよ。」


「「原田さん!」」


空気の薄い二人組は、左之助に絶対の忠誠を誓ったとか……。


――――――――――――


『るっる、るっる、るー。』


みじん切りをし続ける蘭。


「オムライスを作ることが、こうも大変だとはな。」

『作ったこと、なかったのかよ!
お前、家で何もしてないのかっ!?』


「家事は全て、家の者がやるからな。」


『マジかよ。
掃除、洗濯、料理、着替え……。
全てが天霧さん任せかよっ!!』


「何故、天霧だ!
それに、着替えは自分でやる!!」


そんな会話の横で、近藤のアタックが始まる。


「お妙さん、お妙さん。」


「何ですか、近藤さん。」


「お妙さんの作った料理、楽しみです。
終わったら、一緒に食べませんか?」


「断固、拒否します。」


「妙ちゃんが嫌がっているではないか。
近藤殿、ここは引いてくれないか。」


しつこい近藤に、妙の機嫌が悪くなっていく。
九兵衛も、包丁を取り出しそうな勢いだ。


『楽しそうだな。』


「そうか?」


『ああ。
何より、俺が楽しい。』


蘭の笑みに、千景は頬を染める。


『どうかしたか?』


「いや、何でもない。」


『そっか。』


その時、近藤の大声が聞こえる。


「お妙さぁぁん!!」


『何だ!?…………った。』


「蘭!?」


蘭の指から、血がにじむ。


「近藤、貴様……。」


『ちっ、千景っ。
気にすんなって、慣れてるし。』


蘭は、今にも暴れだしそうな千景の袖を、緩く掴む。


「蘭……。」


『大丈夫。』


「……お前が言うのなら。」


千景は蘭の指に、口をつける。


『なっ……ななっ。』


「消毒だ。
気にするな。

天霧、絆創膏を寄越せ。」


千景は天霧から受け取った絆創膏で、蘭の指を巻く。


「痛くはないか。」


『あっ、ああ……。』


「それならいい。」


その時、キャサリンの声が二人を遮る。


『蘭サァン達、公共ノ場デ、イチャイチャシナイデクダサーイ。』


『イチャイチャなんてっ!』


「蘭の言う通りだ。
イチャイチャなんて、してはおらん。
文句があるのか、貴様。」


「ドウ見テモ、イチャイチャデシタヨ。」


「貴様。
それ以上言うのなら、その頭の異物を取り除いてやる。」


『もう、いい加減にしろ!
人参、刻ませてくれえええ!!』
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