薄桜学園3年Z組

□さあ、体育祭だ。
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〜プログラム二番・徒競走〜


出場するのは、お千と君菊とたま、平助と十四郎と総悟である。


『てめぇらっ!
今から、全力で応援するぜっ!!』


『きばってこー!』


「おー!」


さっきの乱闘で、3Zは疲れ果てている。
流石に、この事態は予想外だ。


『ってか、応援団長が疲れきって、どうすんだよ!』


『うん。』


『うん、じゃねーよ!』


すると、3Zのテントの後ろに、椿が現れる。


『大丈夫よ、手は打っているわ。
要は、他のクラスのやる気を削げばいいのね。』


椿の後ろに立っていたのは、高杉と鬼兵隊の面々だった。


『これで、他のクラスのやる気が削げる。』


『よくやった、椿!』


『よし、じゃあ応援……。』


振り向くと、そこには徒競走に出ていた面々。


「ただいまー。」


「姫様が3位を、私が1位を、たまさんが5位です。」


「男子も、三冠取ってきたぜ!」


『よくやった!
皆、本当に大好きだっ!』


『ん……待てよ……。
(ってことは、高杉の兄貴はいらなかったって事かよ。)』


言ったら殺されそうな雰囲気だったので、心の中で叫んだ蘭だった。


――――――――――――


座学より実戦タイプ。
何とかなりそうだと思っていた、3Zのはずだったが……。

続く玉入れで、桂がダンクシュートにより、玉が全部が落ちるという悲劇が起きる。
それに続き、障害物競走も、山崎が全コースのあんぱんを食べたせいで、大きな遅れを取る結果になった。


『まずいだろ。
誰だ、バカを出場させた奴。』


『仕方ないでしょ。
全員が出なきゃいけなかったんだもの。
あんなにバカだとは思わなかったし……。』


一同は、次の綱引きにかける。
なぜなら、この勝負にだけは、負けない自信があったからだ。


『神楽、頼んだよ。』


「任せておいてよ!」


このクラスに唯一あるのは、バカ力と負けず嫌いだけなのだから。


『誰に似たんじゃろうな。』


『決まってるだろ。』


『子が親に似るとは聞くけど、クラスが担任に似るとはね。』


引っ張るタイミングのズレている3Zは、少し圧されている。
しかし、3Zには秘密兵器がある。


『いけぇぇぇ!神楽ぁぁぁ!!』


「うおおお!!」


神楽が引っ張ると同時に、敵のクラスは呆気なく引き摺られる。


『力だけなら、勝てるわね。』


『力勝負だけじゃけどな。』


――――――――――――


リードを取り戻したかと思われた3Zだが、まったく追いついていない。


『くそっ……。』


『次は、騎馬戦か。』


準備する男子一同は、やる気満々なのだが、不安が拭えない。


「必ず、勝ってくるよ。」


「負けるわけには、いかないしな。」


「ふん。
足を引っ張るなよ、貴様ら。」


「あんたが、一番不安なのだが……。」


グラウンドの端と端に集まる、男子生徒達。

その中でも、3Zは百戦錬磨の男達が揃っている。
絶対に勝てる勝負なはずだった……。
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