薄桜学園3年Z組

□さあ、体育祭だ。
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青い空、白いテント、砂埃の舞うグラウンド。
決戦の時は来た。
二列縦隊で並ぶ3Zの目は、闘志に満ちていた。


「ただいまから、体育祭を開催する。」


「「『『うおおお!』』」」


風間の一言に、3Zだけが雄叫びをあげる。


「浮いてますね……。」


『そうね……。』


若干の常識人には、居づらい状態だ。
しかし、【赤信号、皆で渡れば怖くない】方式な3Zには、常識なんて存在しない。


「3Zの皆が、やる気になってくれて良かった……。
な、トシ。坂田先生。」


「そう……だな……。」


「ああ……。」


二人の視線の先には、バカ校長の姿が……。


「まあ、考えてても仕方ねーし。」


「とりあえず、勝ちゃいいんだろ?
俺ら[3Z]が。」


不敵に笑う銀時と歳三に、近藤は首を傾げるのだった。


〜プログラム一番・ラジオ体操〜


軽快な音楽と共に、3Zは全力で手足を振る。
なぜなら、ラジオ体操でさえも、演技として点数が加算されるのだ。

今回ばかりは、シャイな面々も、全力でやるしかない。


「土方さん、肘が当たった。」


「土方、腕が当たった。」


左と斜め後ろをW沖田に挟まれた十四郎は、鬱陶しそうに、腕を回す。


「あ、また当たった。」


「あー、腕の骨がー。」


「てめェらは、当たり屋かっ!?」


総悟が、十四郎にロケットパンチを繰り出す。


「アホか!
これは、ロボットダンスじゃねえっ!!」


「これが、俺なりのラジオ体操でさァ。」


「テメッ!」


十四郎は、総悟に蹴を入れる。


「土方さん、危ねェや。」


「俺なりのラジオ体操なんだから、仕方ねェだろ。」


「ラジオ体操は、足を上げる動作なんて、一つも無かったと思うんです……がっ!」


十四郎と総悟の乱闘が始まる。


「って……二人とも、痛ぇじゃんっ!」


「おっ!
喧嘩か、喧嘩か?」


「お前ら、止めろっ……うわっ!」


乱闘は次第に広がり、3Z以外のクラスまで混じり始める。


『なぁ、ふと思ったんじゃが……。』


『何だよ。』


『何かあった?』


『薄桜で体育祭やることが、間違ってるんじゃないか?
こいつら、こうやって野放しにしたら、乱闘だの何だのになるのは、目に見えてるのに。
だから、あの校長はバカなんじゃ。』


『…………まあ、確かにな。』


蘭が乱闘の中心を見て、叫ぶ。


『千景、何やってんだっ!
お前が先頭に立って暴れて、どうすんだよ!!
ってか、会長だろ!?
この乱闘、鎮めろよ。』


今年の体育祭は、砂埃と汗と涙を撒き散らす、壮絶な戦いになりそうだ。
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