薄桜学園3年Z組

□結構、お弁当一つでお腹いっぱいです
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「とりあえず、落ち着いたか。」


『うん。』


『おうよ。』


「じゃあ、諦め……。」


『『無理。』』


さすがの銀時と歳三も、毎日これが続いているのかと思うと、呆れてくる。

しかし、大事なことに適当で、どうでもいいことに真剣な3Zには、一大事なのだ。


『分かったわ。
それじゃあ、私にコーヒー牛乳と購買の唐揚げを献上しなさい。』


『了解したっ!』


『では、行ってまいる!!』


蓮と蘭は、全力疾走する。


「ったく、何やってんだか。
なあ、歳三?
……って、歳三は?」


さっきまで立っていたはずの、歳三と風間の姿が消えていた。


――――――――――――


『コーヒー牛乳、ください!!』


『からあげ、ください!!』


「ごめんね……からあげは売り切れちゃったんだよ。

はい、コーヒー牛乳。」


『嘘だっ!?』


『おっ先〜。』


蘭は、軽快なステップで駆けて行く。


『ないわ〜、裏切りだわ〜。』


蓮は周りを見回す。


『おっ、いい所に。』


そこには、十四朗と総悟の姿があった。


『あのさ、唐揚げとか買ってない?』


「あ?唐揚げか。」


「なら、俺達が持ってまさァ。」


『分けてください。』


すると、総悟が嫌な笑みを浮かべる。


「別にいいけど。
その代わり、土下座しろよ。」


『それはないだろ!』


「欲しいんじゃないんですかィ?」


『いや、欲しいけども……。』


蓮は仕方なしに、頭を下げる。


『お願いします。
唐揚げ分けて。』


「もっと、心を込めて!」


『お願いします!
唐揚げ分けてください!!』


「全力で!!」


『お願い……って、いい加減にしろよ。ゴルァ!』


すると、十四朗が助け船を出す。


「いい加減、分けてやれよ。総悟。」


「何ですかィ、土方さん。
こっからが面白いってのにィ。」


『マジ沈めよ。』


「仕方ねェ、俺のやるよ。」


土方は唐揚げを蓮に渡す。


『あのさ……。』


「何だよ。」


『何、この白いの。』


「マヨネィズだけど。」


『犬のエサもらって、どうすんだよ!?』


蓮は全力で十四朗の顔面に、唐揚げを投げつけた。


――――――――――――


『おじゃましまーす。』


次に訪れたのは、鬼兵隊のアジトだった。
十四朗と総悟の証言によると、自分達の前に並んでいたのは、高杉だったらしい。


『高杉様、高杉様。
どうか、私に唐揚げを分けてください。』


「却下。」


『わお、妹そっくり。
じゃなくて……お願いだから、分けてください。』


「てめえ、前にそろばん貸した時も、帰さなかっただろ。」


『アレは、椿に返した!』


「オレんとこには、返ってきてねェ。」


『そう言わずに、何とか……。』


高杉はニヤリと笑みを浮かべる。


「一つ。
言うことを聞くなら、考えてやるぜ。」


『な、なんでっしゃろ。』


「そうだな……。
じゃあ……。」


高杉の瞳が妖しく光る。


『……やっぱり、パスっ!』


「ハァ?」


『嫌な予感しかしないし。
他の誰かに聞く……。』


蓮はそのままターンして、アジトを出ようとする。


「ちょっと待て……。」


『大丈夫です。大丈夫です。
大丈夫です〜!!』


高杉は、閉まった扉と唐揚げを見つめる。


「別に、唐揚げくらいやるっての。」
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