薄桜学園3年Z組
□苦難を乗り越え、今後は遠足……って、京都なの!?
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学校行事の楽しみと言えば、授業を受けなくていいことである。
しかし、逆に面倒なことも、多かったりするのだ。
―10:30 京都駅前―
「今から、自由行動なわけだが……。
くれぐれも問題を起こすなよ。」
「んじゃ、解散な。」
銀時の言葉で、班ごとに散らばる。
もちろん、いつものメンバー(歳三は見張りで同行)だ。
「じゃあ早速、行こっか。」
「お前らは、何調べるんだ。」
自由行動とはいえ、班ごとに課せられた課題をこなさなければならない。
訪れる場所も、それによって、変わってくるのだ。
「何って……。」
『『『『新選組……だけど〔ですが・じゃ〕』』』』
「相変わらず、お前らベタだな。」
『お褒めいただき、光栄です!』
『今のは、絶対に褒められてねーけどな。』
すると、切符を買いに行っていた、一と千鶴が帰ってくる。
『行くぞー!れっつらゴー!』
『おう!』
軽快にスキップで歩いていく、Wバカを筆頭に、一行はホームの中に消えていった。
――――――――――――
―12:00 壬生寺―
『『つーいたー!!』』
途中、何度か道に迷いかけた。
だが、椿が案内を交代してからは、意外にすんなりとたどり着くことが出来た。
「懐かしいな。」
「大分、変わっちゃってるけどね。
保育園なんか、出来ちゃってるし。」
「俺らが、木刀振り回してた所を、今はガキが走り回ってんだな。」
一行は賽銭を投げて、手を合わせる。
『あっ、お守り売ってんじゃん!』
『俺も買うって!』
椿が小さく呟く。
『良かったですね。
新選組、好かれてるみたいですよ。』
「それは、きっと椿達みたいな物好きだろうね。」
蓮と蘭は、もう道路に出て、手を振っている。
『早く、早く!』
「てめえら、近藤さん達の墓は……。」
『生きてる人の墓に、お参りする趣味はねぇ!
早く、お菓子!お菓子!』
「貴様らは、菓子目当てか。」
――――――――――――
―12:50 八木邸―
「懐かしかったですね。」
『千景が、どこから侵入してたのか。
長年の謎がようやく解けたな。』
『真実はいつも一つじゃな。』
一行は椅子に腰かけ、お茶と餅を食べる。
「これ、中に壬生菜が入ってるんだって。」
「上手いな。」
「一、こっそり風間のを取ろうとするな。
なんか、恥ずかしい。」
「すっ、すみませんっ。
つい…………。」
「斎藤さん。
私の差し上げますから。」
すると、歳三が外を指差す。
「ところで、アレは何やってんだ。」
『隊士が座ってた石らしいぜ。
相変わらず、座り心地が最高だって……あっ。』
「今、全国の新選組ファンの夢が、壊れたんじゃねえか。」
『歳三、上からカバーしてきて!』
「誰がするか!」
窓の外の蓮が、椿にハリセンで叩かれる。
「椿は、すごい荷物だな。
初っぱななのに……。」
「壬生餅、気に入ったみたいだよ。」
「買い物が終わったなら、早く行くぞ。
予定が詰まってる。」
千景が予定表を眺めながら言った。
――――――――――――
―13:30―
『うおー、島原の大門だ。』
『懐かしいですね。』
『嫌な記憶しかないんだけど。』
一行は、近くのおばさんに記念撮影してもらい、いつかの宴会を思い出す。
『ここに来ると、お千と君菊ってカンジだよな。』
『呼んだら、出てきそうじゃな。
鬼って、神出鬼没だし。』
「鬼だけにな。」
「一君、ちょっと寒いよ。」
「確かに、いつの間にか出てきますよね。
ストーカーみたいに。」
『一人は』
『お千〜!君菊〜!!』
すると、後ろから声が聞こえる。
「何、こんな所で人の名前を叫んでるのよ。
恥ずかしいじゃない。」
「皆さん、お揃いですね。」
『お〜千〜!き〜く〜!!』
蓮と蘭は、二人にダイブする。
二人も、さり気なく受け止めるところから、優しさが滲んでいた。
『あれ?
不知火さんと天霧さんは?
同じ班じゃなかったかの?』
「お前らと一緒になんて出来るか、って言いながら、出発の三分後に解散だったわ。」
『容易に想像できるわ。
御愁傷様。』
「まあ、私達も清々してるからね。
どうせ、あの二人が言うように、一緒に行動なんて出来ないもの。」
『んーむ、確かに。』
『団体行動とか、不知火に求めるのが間違ってるな。』
結局、お千と君菊も含めて、写真を撮る。
二人と別れて、次の目的地へ一行は向かった。