薄桜学園3年Z組

□かなり誤解されてる気がするけど……そんなに私は短気じゃないよ
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『どうしたの、歳三?』


「…………あ?」


【坂田蓮】
薄桜学園高等部3年Z組在籍
女子剣道部主将
そして、土方歳三の彼女である。


「……おかしいだろ。」


『何が?』


「他はどこも大喧嘩なんだぜ。
お前は嫉妬の一つも出来ねえのかよ。」


蓮は目を丸くする。


『えっ……嫉妬して欲しかったの?』


「んなわけねえだろ。」


『んじゃ、言い方考えなよ。』


蓮は竹刀を片付けながら言う。


『だってさ、他は相手が相手じゃん。
歳三の場合、猫だからね。
猫ならいいじゃん、動物だし。』


「いや、誰かさんはぬいぐるみに嫉妬してた気がするんだが……。」


歳三は蓮の様子に安堵する。


「俺の早とちりだったみたいだな。」


『なんたって、私は心の広ーい女だからなっ!』


「じゃあ、あの時怒ってたのは何でだよ。」


『あれは、その場のノリというか……何と言うか……。』


蓮はハッとしたように言う。


『じゃあ、アレ寄越せ。』


「アレ?」


『慰謝料。
私の心を傷つけた。』


「心の広い女が、慰謝料請求するのか。」


ムッとする蓮に、歳三はチケットを取り出す。


「そう言うと思って、用意してきたんだ。」


『それって、まさか……。』


「見たかったんだろ?」


『……裏があるわけじゃないよね。』


「何でそんなに疑り深いんだ。」


『前科があるから。』


「いつの話だよ。」


蓮はチケットを受け取ると、笑みを浮かべる。


『まあ、アレだから。
私が猫を追い越して、歳三の一番になってみせるだけだからっ!
覚悟しとけよ〜。』


「……もう一番だっての。」


『何か言ったか〜?』


「別に何もねえよ。」


すると、蓮は歳三にチケットを返す。


「何だ?
今更、行けないなんて言うなよ。」


『違う。
私、絶対に紛失させる自信があるから、当日まで待ってて。』


「ったく……。」


そう言いながら、歳三はチケットを直す。


『さて、帰るか。』


「今日の練習はどうした。」


『椿が行方不明。
蘭が逃走中。
向日葵は……途中で逃げ帰った。
千鶴には、練習出来ないから帰ってもらった。』


「そうか……。」


歳三は蓮の頭を撫でる。


「さすが、主将だな。」


『ええーい、子供扱いすんなー!』


その時、部室の扉が開く。


「蓮、俺帰るけど一緒に……。」


『銀兄ぃ!?
びっくりした……ノックしろよー。』


銀時の目には、歳三が蓮を襲っているように見えたらしい。


「何やってんの?歳三くん。」


「何って、何も。」


『歳三、逃げるぞ。』


蓮は机をひっくり返すと、歳三の手を取って、地下に潜る。


「お前、何で抜け道なんか作ってやがる。」


『こういう時のためにね。
まあ、助けられたんだから、文句言わない。』


「兄貴もアレだが、妹も妹だな。」


『なにを〜、コンニャロー!!』


かなり誤解されてる気がするけど……そんなに私は短気じゃないよ
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