薄桜学園3年Z組

□怒った時と嬉しい時、共通点は笑顔だよな
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『てめえ、どの面下げて入ってきとんじゃ。ワレェ。』


【桂蘭】
薄桜学園高等部3年Z組在籍
剣道部兼生徒会副会長
そして、風間千景の彼女である。


「怒っているのか……?」


『そりゃ、もちろんな。』


「ならば、なぜ笑っている。」


蘭は、指をポキポキ鳴らしながら、起立する。


『知ってるか、千景。
人間が笑うのって、嬉しい時と超怒ってる時なんだぜ。』


蘭は横に立てられた箒を構える。


『今まで俺は、お前のやりたい放題な俺様に耐えてきた。』


「……………。」


『それなのに……それなのに……。
浮気なんてェェ!!』


「俺は浮気などっ!」


『お前は大人しい、可愛らしい、気立ての良い千鶴にそっくりなアレがいいんだろ〜!!
んなの、買ってくるんじゃなかったぜ。』


「(雪村に似ていると思っているのに、よく切り刻めたな……。)
だから……そうかっ!」


風間はポケットに入った一枚のチケットを思い出す。


「蘭、聞け。」


『…………何?』


「良かったら、一緒に行かない……。」


『俺が、そんなのにつられるような、物だけの女だと思ってたのかっ!』


蘭は箒を振り回す。


「原田め……後で覚えていろ。」


風間は蘭の後ろに周り込み、後ろ抱き抱える。


『ぬわっ!
放せっ!変態!!万年留年会長!!!』


「いくらでも言っていろ。
ただ、誤解は解かせてもらうぞ。」


『誤解もクソもねーだろっ!』


「これだから……。
思い込むと貴様は手がつけられんから困る。」


『悪かったな……。』


風間は首に顔を埋める。


「そんな女に、どうして惚れてしまったのだろうな?」


『本当に、浮気じゃないんだな。』


「本当だ。」


『嘘だったら、別れるからな。』


「別れられるのか?」


『…………無理。』


蘭はチケットを見て言う。


『仲直りに、行こっか。』


「もちろんだ。」


風間は蘭の笑みを見ながら言う。


「なんだ、まだ怒っているのか?」


『違げぇよ、嬉しいから笑ってるに決まってるだろ。』


「そうか。」


その時、天井の板が外れ、桂が出てくる。


「いけません。
いけませんよ、デートっていうのはねぇ……。」


『兄貴、いい加減にしろよ。
正直、読者も飽き飽きしてるぜ。』


「そんなこと、関係ない。
蘭が、その男から離れたら問題ないのだ!」


逃げようとすると、出入り口にエリザベスが立っている。


『げっ……どうすんだ!?』


「こうするしか、ないだろ。」


風間は蘭を掴んだまま、窓を破って下に落ちていく。


『ぎゃああああ!!』


「何を今さら叫んでいる。
よく、天霧から逃げる時に、落ちているだろうが。」


『違うって!
窓割ったことが、天霧さんにバレたら……。』


二人は顔を真っ青にする。


「蘭、逃げるぞ。
とりあえず、今日見つからなければ、ゴールデンウィークは逃げ切れる。」


『お、おうっ!』


この後、逃げ切れずに天霧から説教を食らったのは、言うまでもない。


嬉しい時と怒った時、共通点は笑顔だよな
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