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□そんな君に初恋
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まさか……まさか、私が……。
総司さんに恋をするなんて、思ってもいなかった。

幕末の侍で、歴史の教科書に載ってる人。
しっかりしてるようで、すごく寂しがり屋で、放っておけない……。

そんな居候さんに、生まれて初めての恋をしてしまいました……。


――――――――――――


『総司さん…。』


今まで、何とも思わなかった。
総司さんがいなくて寂しいとか、あんな風に話しかけられる女の子が羨ましいとか。

これじゃ、私が総司さんより子供みたいじゃない。


『総司さん、置いていきますよ!』


つい、私はキツい口調で言ってしまう。


「ああ、ごめん。」


総司さんは笑顔で応えるけど、今ので印象DOWNな気がする。


『私なんか……。』


「君がどうかしたの?」


『……なっ、何でもないです!!』


総司さんから、急いで距離を取った。
すると、また総司さんの周りに人が集まる。


『バカみたい。』


自分も、あの取り巻きも。
だって、あの人はいつか……。


『こうなったら、ヤケ食いよ!!
たくさん食べて、太ったら……それはマズイな。』


もう一度、総司さんを振り向いて見る。

すると、夏希と話していた。
それは、もう満面の笑みで。


『え……?』


まさか過ぎるだろ……。
親友に取られたパターン?
知らないうちに、やられてたパターン?

…………ナイナイナイ!!
真面目に、号泣してもいいですか!?


『うわっ、本当に視界が霞んできやがった。
目からビームでも、出れば良かったのに。』


まさか、初恋がリアル少女漫画的展開で、敗れに敗れ。
もう、ビリッビリになるとは……。

でも、私が気づくのが遅かったってのも……。
あっ、くそぅ。
自己嫌悪に浸るくらいなら、ヤケ食いだぁ〜。


私は購買の焼きそばパンを買い占めた。
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