四輪花(銀魂→薄桜鬼トリップ夢)

□Zenith distance
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『そういえば、こっちは春だったのね……。』


椿は、高台から景色を見下ろす。


『あの日から一週間。
でも、私達にとっては約一年。』


眼下に広がる桜を見ながら、椿は呟く。


『綺麗よね。
まるで、あの人達みたい……。』


椿は桜に手を伸ばす。


『……総司さん。』


すると、その手を誰かが掴んだ。
そして、後ろから抱き締められる。


「僕が、どうかしたの?」


『総…司……さん?』


「やっぱり、僕も君も耐えられなかったね。」


沖田は笑いながら、椿の紙をまとめ始める。


『どうして……。』


「どうしてって、やっぱり君じゃないと、意味がないんだよ。」


『…………?』


沖田は椿の髪に、簪を刺す。


「君以上の人間なんて、どこを探してもいないんだ。
近藤さんとも違う、千鶴ちゃんとも違う……。
こんなにも誰かに執着出来て、自分が自分じゃなくなるくらい好きなのは……。

やっぱり、君しかいないんだ。」


『総司さん……。』


「やっぱり、この簪が似合うのは、君しかいないよ。」


『っ……。』


椿の瞳から、涙が零れる。


『私も………私も、総司さんが……。
……っつ………総司さんじゃなきゃ、嫌だ……。』


「知ってるよ。」


二人はどちらともなく、唇を重ねる。
そんな二人を隠すように、桜の花びらが青空に舞い上がった。
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