四輪花(銀魂→薄桜鬼トリップ夢)

□Welcome the end
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土方の部屋で、蓮は一枚の書状を見ていた。


『不味いな……。』


そこに書かれていたのは、薩長の軍が迫っていることだった。


『遅いだろ、いくらなんでも!』


「見たのか……。」


蓮が振り返ると、土方が立っていた。


「お前ら四人は、千鶴を連れ……。」


『何言ってんだよ!!』


「蓮……。」


蓮は土方の胸ぐらを掴んで言う。


『あいつら全員、広間に呼んでやって。』






しばらくして、幹部全員が広間に集まった。


「幕府から、薩長の軍が迫っていると、報せが届いた。
俺達、新選組は迎え討つために、出陣する。」


その一言に、場は盛り上がる。
しかし、土方は言い辛そうに、口を開いた。


「だが、薩長はすでに摂津の辺りまで来ているらしい。」


「なっ。
いくらなんでも、遅すぎねえか?土方さんっ!」


『違ぇよ……。
多分、幕府の方も混乱してんだろ?
今日、報せが届いたんだよ。』


「今回の戦、女を連れて行けるほど、俺達も暇じゃねえ。
どっか田舎の方にでも、逃げていろ。」


『まだ言うかっ!』


『ちょっ、蓮!
ストップ!!』


すると、椿が蓮の頭を、ハリセンで殴る。


『っ、何し……。』


『言いたい事は分かりました。』


「さすが、椿だな。
もの分かりがい……。」


土方の頭にも、気持ち良いくらい大きな音で、ハリセンが落とされる。


『言いたい事は分かりましたが、了承した覚えはありません。

勝手に何でもかんでも、決めつけてんじゃないですよ。
好きでここにいるんだから、出ていく時も好きにさせてもらいます。』


『そうじゃ。
私らの意見も聞いてほしい。

土方さんが優しいのは知っちょるが……。
それは、優しさとは違うんじゃないか?』


「私からも、お願いします!
どんな些細な事でも、お手伝いさせて下さい。」


「…………。」


すると、蓮が床に正座をし、頭を下げた。


『一回、戦争やってる私らなら、少しは役立つはずだ。
あんたらの邪魔にはなんねえ……。

だから、お願い。
最後まで新選組に……誠の侍でいさせてください。』


頭を床につけて動かない蓮を見て、他の四人も頭を下げた。


「土方さん、いいんじゃないですか?
何も考えてない馬鹿ならまだしも、彼女達はちゃんと覚悟を持っているんだし。」


「俺からも頼みます。
千鶴達の参加を認めて下さい。」


「そうだぜ。
俺らだって、そうそう負けねえし。
こいつら守り切るくらい、何とかなるって!」


「土方さん。
悪ぃけど、今回は俺もこっち側だ。」


「てめえら……。」


土方は呆れた顔をして、にっと笑った。


「ったく、いつも勝手しやがって。
俺の決意も粉々にしやがる。

……同行は許可してやる。
が、絶対に離れんじゃねえぞ。
必ず誰かと行動しろ。
特に千鶴。」


「はい。」


『了解です。』


『やったぜ!』


『ふふ……。』


『うん。』


五人は喜ぶ。
それは、さっきまで盛り上がっていた幹部以上だった。


「ったく……人の気も知らねえで。」


「まあ、僕達があの五人に勝てたこと、ありませんからね。」


「てめえら、気を引き締めておけよ。
分かったら解散して、隊士共に伝えてきてやってくれ。」


「『『『はーい。』』』」


「何でお前らが返事してんだ。」


広間は笑いに包まれた。
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